新型コロナ給付金詐欺で逮捕起訴された不動産会社の元職員の女性の発言がネットで話題になっている。なんでも老後2000万円必要問題を聞き不安になって詐欺グループに加担したそうだ。この犯行動機を聞いて思わず笑ってしまった。
FXの投資サロンから悪の道へ
この新型コロナ持続化給付金に関しては、全国で幾つも詐欺事件が摘発されている。この詐欺のケースでは、大手DW証券会社の元社員が主犯格を務め、税務署職員が犯行メンバーに名を連ねていたことから大きな話題になった。そしてこの不動産会社の元社員の女性は、主犯格の男が主催していたFXなどへの投資セミナーから詐欺の道に引き込まれたそうだ。因みに主犯格の大手DW証券の元社員は、妻子を伴ってドバイに出国したらしい。
真面目に生きてきたらしい
この女性は、新潟県生まれで都内の大学を卒業。その後、都内の不動産会社に就職して働いていたらしい。特に家庭にも問題はなく、高校時代にはスポーツに打ち込むなど真面目に生きていたようだ。ただ将来のお金の心配から、FXや暗号資産などのセミナーに参加するようになり、この詐欺グループに引き込まれていったようだ。
また詐欺グループのリーダー達は、成功をアピールするために高級外車や高級腕時計などを見せて、派手な生活を見せびらかしていたようだ。地方出身の人間が東京などの都会の派手な生活に憧れて悪の人生を踏み外すのは昔からよく聞く話だ。
老後2000万円必要問題は存在しない
この裁判で犯人が動機の一つとして語っているのが「老後2000万円必要問題」。金融庁がコロナ禍が始まる約半年前の2019年に発表したレポートのことだ。
このレポートでは、モデルケースとして65歳の夫(元会社員)と60歳の妻(専業主婦)をモデルケースとして想定している。そして夫婦の年金として月20.9万円を受取り、生活費として月26.4万円を支出する前提になっている。結果として月に5.5万円、年間だと66万円不足するという計算だ。これに平均寿命から計算された老後期間を掛けて最大で2000万円弱老後資金が不足するという結果になった。
共働きすれば問題解決
この金融庁作成のレポートの肝は「妻が専業主婦」という点だ。公的年金の3号被保険者になるので、老後は国民年金の約6万円しか受給できない。
もうこの時点で気づいている方も多いと思うが、「共働き」なら妻の年金は厚生年金になる。厚生年金の平均受給額は月14万円強だが、男性が平均月16万円、女性は10万円程度だ。もし夫婦とも共働きなら、月の年金は26万円強になる。先ほどの金融庁レポートが想定している余裕のある生活費とほぼ一緒だ。
つまり「年金以外2000万円不足問題」は、そもそも共働きなら存在しないのだ。
厚生年金保険・国民年金事業の概況 |厚生労働省 (mhlw.go.jp)
令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況 (mhlw.go.jp)
さらに、もし夫婦の一方が大企業の正社員や公務員なら、公的年金に加えて企業年金などが支給されるだろうから老後は余裕の黒字になるだろう。
読解力がないと詐欺に引き込まれる
このコロナ持続化給付金詐欺事件を聞いて改めて思い出したのが「日本人の3人に一人は文章が読めない」という話だ。国際成人力調査(PIAAC:ピアック):文部科学省 (mext.go.jp)と呼ばれるこの調査は、作家の橘玲氏が著書で取り上げて話題になった。日本人の3人に一人が「簡単な文章が理解できない」「小学校3年程度の計算能力しかない」という内容に一部で大きな驚きの声が上がった。
しかし、今回の詐欺事件だけでなくFXや暗号資産で高配当を謳う投資詐欺事件が後を絶たないことを見ても、この「日本人の3人に一人はバカ」という話もあながち嘘ではないと思えてくる。一応、犯人の女性は「大学を卒業している」ようだが、多分「金融庁のレポートは読んでいない」だろう。
残念!

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