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円安でも意外にも明るい未来の日本




円安の影響がジワジワと広がっている。
2022年から急激に進んだ円安を受けて、現在の日本では、日本経済衰退論、日本経済没落論などの悲観的な見方が蔓延している。少し前まではデフレで日本が滅びると騒いでいたSNS界隈も今では、度重なる値上げに悲鳴を上げている。
また、この極端な円安を受けて、海外からコロナ禍前を大きく上回る外国人観光客が日本を訪れていることも一部の日本人の神経を逆なでしているようだ。特に渋谷で路上飲みするような欧米系の貧乏なパリピ観光客や富士山の前で写真を撮りたがるアジア系の観光客の増加は、日本が先進国だと信じ切っていた一部の日本人に改めて自国の経済的没落を認識させることになっているようだ。

しかしもう少し引いた眼で日本経済を俯瞰してみると、世間で騒がれているほど悲惨な状態ではないことがわかる。
今回は今の超円安状態の後に何が起きるか予想してみた。

二つの為替レート

今の一ドル160円の為替レートを巡っては、そろそろ天井という説と、まだまだ円安が続くという悲観派に分かれているようだ。
実は一言で為替レートと言っても、その人のおかれた経済状況や立場によって相当味方にばらつきがあるだろう。

一ドル=80円

まずメディアでよく話題になるのが、ビックマックレートと呼ばれるものだ。これは同じものやサービスは世界中で同じ価格になるに違いないという”一物一価の法則”に基づいた見方だ。その代表例がマクドナルドで販売されている”ビックマック”というわけだ。
このビックマックで計算すると、一ドルは約79円になる。
このビックマック指数で考えると、今のドル円の為替レートは倍近い円安ということになる。
※国内のビックマックの値段は約450円、アメリカのビックマックは約5.69ドル

超円安で牛肉価格日米逆転

一方で、興味深いニュースが最近流れた。それは超円安を受けて、スーパーで売られている牛肉の価格が日米で逆転したというニュースだ。国産だと100g=350円程度の牛肉が、アメリカ産だと約390円程度と日米が逆転したというのだ。30年前に日米貿易摩擦の影響でアメリカから牛肉とオレンジの輸入自由化を強制され、国内畜産業者がパニックになった時代を知っているものとしては驚天動地の展開だ。
このニュース自体がかなり衝撃的な内容だが、もう少し見方を変えてみると、日本の畜産業者にとっては、今の一ドル160円近い円安レートが”適正為替レート”、”牛肉のビックマック指数”ということになる。
本家のビックマック指数が、世界的に流通しているグローバル製品の適正為替レートを表すとしたら、牛肉のビックマック指数は、日本でもっとも国際競争力の低い、日本の畜産農家という超ローカル産業の適正為替レートということになるだろう。

これ以上の円安は牛肉にもマイナス

ここで注意が必要なのが、今以上に円安が進むと国産牛肉に不利になるということだ。これは大半の国内畜産農家が米国産の輸入飼料を使っているためだ。報道によると為替レートが170円を超えて円安に振れると、輸入飼料が割高になり、コスト高で国産牛が再び不利になるそうだ。
もちろん為替市場は、経済合理性を無視し極端な動きをすることがしばしばある。今回の超円安も更に円安が進んで、超々円安にならない保証はない。

今回の円安は日本経済にプラス

今は急激な円安で、日本国内はある意味ちょっとしたパニック状態になっているようだ。日本がアルゼンチンのように国家破綻するだとか、ハイパーインフレが起きるだとか物騒な言説がネットをにぎわせてもいる。
しかし現実を細かく眺めてみると、日本の未来は暗いどころか、かなり明るい兆しが増えているように見えいる。

海外直接投資の増加

現在の円安が定着するに従って、外資による日本に対する直接投資が更に増加するだろう。既に昨年には、熊本のTSMC(台湾セミコンダクター)の巨大半導体工場が竣工して話題になった。このTSMCの進出で、熊本では極端な人手不足から、東京より時給が高い業種が表れているそうだ。
日本は落ちぶれたとはいえ先進国だ。道路などのインフラも整っていて、まがりなりにも戦後は民主主義国家として、財産権や表現の自由などの基本的人権も保障されている。
また基礎的な教育が普及していることから人材の質も相対的には高いだろう。
更に経済成長著しいアジア市場に近いことも有利な点だ。
そう考えると、世界中から(場合によっては中国からも)、日本への工場建設などの直接投資が増える可能性は大いにある。
また最近では、中国人などの外国人によるホテルや不動産への投資も引き続き盛んだ。
今後も海外資本の日本流入は続くだろう。

サービス業で給与が増加

円安とインバウンドの影響で、今後は、特に観光や飲食などのサービス業で給与が増加するだろう。特に恩恵を受けやすいのが”非正規雇用で働く女性”だ。女性の非正労働者者は、今まで”使い捨ての安い労働力”として都合よく酷使されてきた。また”年収の壁”など時代遅れな制度の影響もあり、労働時間を制限している人も多かっただろう。
しかし今後は、インバウンドを起点としたサービス産業価格の国際価格への収斂を通じて、この層の給与が大幅に上昇するだろう。
またご存じの通り、少子高齢化の影響で今後20年程の間に、日本の労働人口が1500万人程度減少する。ある程度は外国人労働者の導入が行われるだろうが、日本語が話せる労働者の不足は補いきれないだろう。

海外投資収益が流入

円安でもう一つ見逃せないのが、海外からの投資収益の拡大だ。
既に10年以上前から、日本の経常収支の黒字は、海外に進出した日本企業が稼ぎだす一時所得収支が主力になっている。モノの輸出による貿易黒字に頼っていた昭和の時代と様変わりしている。
更に、ここにきて円安と新NISAの導入が重なったこともあり、個人による海外の株式などへの投資が拡大している。報道によると一か月で一兆円近い資金が海外に流出しているそうだ。この個人による海外投資に関しては、足元では大きな円安要因となっている。何しろ年間に換算すると10兆円近い資金が海外株式などに流出しているのだ。また新NISAに関しては、制度上枠を満額埋めるのに最短で5年間が想定されている。つまり5年近くに渡って現在の資金の海外への流出が続く可能性がある。
一方で、海外に投資された資金が利益を生んだ場合、配当や利子などの形で国内に再度還流することも想定される。流出が一巡した後は、投資利益の流入が流出を一部相殺する形になるだろう。
結果として、所得収支が更に拡大することになるかもしれない。国家破産どころか、対外資産が益々積みあがることになる。

年金暮らしの高齢者は没落

今の円安は、日本経済全体で見るとメリットがデメリットを上回る可能性が高い。
一方で、全ての日本人が円安のメリットを受けられるわけではない。特に悲惨な状況が予想されるのが、年金に頼って暮らす高齢者だろう。
国民年金などの公的年金には、マクロスライドと呼ばれる制度が導入されている。物価が上昇しても同じ幅では年金は増えない。インフレが今後もジリジリと続くと、公的年金などの手取り額は徐々に減っていくだろう。そして気づいた時には、年金額が実質的に減っているという訳だ。
このインフレを利用した年金減額の巧妙な点は、手取り額自体は増えることだ。ただしそれを上回るスピードで物価が上昇することから、”年金が増えているのに生活が苦しくなる”という不思議な現象が起きる。そして気づいた時には、時すでに遅しだ。
既に日本円は、コロナ前から三割ほど減価していることから、将来、実質の年金額も二割から三割程度は目減りすることになるだろう。

国内での社会変動

円安とインフレ効果の見逃せない点がもう一つある。それは日本の社会構造の変化だ。
従来の日本社会は一流大学を卒業して公務員や大企業などに努める”エリート層”と、”それ以外の庶民”に分断されていた。特に戦後は、新憲法の元で天皇が国民の象徴になるとともに、財閥解体や農地解放が行われ、従来の社会階級が一掃された。その後に大学進学が一般化したことから、”知能による”国民の再分類が行われた。その結果誕生したのが、今の”一流大学卒”、”大企業”、”男性中心”の社会階級だ。

女性の給与が上昇

しかしこの昭和型の社会階級は、今後大きく崩れることになるだろう。
円安とインフレにより、インバウンド産業をはじめとするサービス産業で”値上げ>給与の上昇”が起きる。このメリットは、既に述べた通り”非正規雇用の女性”に大きい。

大企業は二極化

一方で、従来型の大企業や公務員の給与は、全体としては物価上昇ほど上昇しない可能性が高い。実際に足元では、大企業を中心に5%を超える賃上げが行われたにもかかわらず、実質賃金は低下している。
また同じ大企業の中でも、総合商社や大手メーカーなど、グローバル展開している企業と、主に内需(特に高齢者)に頼っている業種では、賃金格差が広がっていくだろう。
大企業に関しては、グローバル展開している企業や、インバウンドなどの恩恵で値上げができる企業では、賃金が欧米先進国並みに上昇することになる。
一方で、内需(特に高齢者)に頼っている企業では、実質賃金が低下するだろう。典型的な業種としては、特に顧客の大半を高齢者が占める医療か介護関連、グローバル展開が不可能な地方銀行や地方公務員などがあげられる。医者や銀行員、公務員などは、今までは地方で一番給料が高い職種だったが、今後は実質賃金が大幅に低下する可能性が高い。

社会階層の入れ替わり

まとめると以下のような感じだ。
円安が一巡した後には、東京などの大都市や観光地などで、”非正規雇用の女性の給与”が一部の正社員の給与を上回るようになる。
一方で、かつては社会のエリートを自任していた”大卒の正社員”や地方公務員などを中心に生活レベルを大きく下げる人たちが出てくるだろう。
最終的には、東京などの大都市に加えて地方でも、従来型の”男性中心の家システム”が崩壊し、”女性を中心とした社会”に移行するかもしれない。





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