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新NISAを始める前に知っておくべき大切なこと・・・その3:投資のパフォーマンスは統計データーで把握しよう


 

来る2024年から、いよいよ待望の新NISAが始まります。

この新NISAは、普通の個人が資産運用を通じて財産形成を図る決定打と言っても言い過ぎでないくらい素晴らしい制度です。
この新NISAの登場で、日本でも個人が本格的に株式など金融資産で運用をする時代が到来するでしょう。

一方で、この新NISAを使いこなすためには一定の知識や経験が必要になります。この記事では、資産運用が初めての個人を対象に、新NISAを活用する上で必須の事前知識を紹介してみたいと思います。

なお、この記事には、NISA制度の解説や、口座の開設方法などの手続き面での内容は出てきません。制度の詳細や手続きに関しては、楽天証券やSBI証券などネット証券のHPを参照するのがいいでしょう。

今回は、投資を始める上で事前に押さえておきたいデーターを簡単にご紹介してみたいと思います。

投資の基本的データーを確認

資産運用や投資を始めるに当たって特に重要な点の一つは、投資のリスクや成果を統計データとして事前に把握しておくことです。

はじめての投資だと、どうしても期待が膨らんでしまいます。もしかしたら未来のアップルコンピューターやテスラを株価が低いうちに見つけて、簡単に億万長者になれるかもしれないなんて妄想しがちです。SNSの投資アカウントなんかを見ると、簡単に100万円を1億円に出来たというような話が溢れています。しかし、実際は後付けか、でたらめな話が大半でしょう。

また、逆に実際に投資をはじめてみると、日々変動するマーケットが気が気でなくなるかもしれません。そしてせっかく長期的な視点で投資を始めたのに、途中で怖くなって止めてしまうこともよくあります。

事前に投資のリターンや、変動率などを把握して、事前に心構えをしておけば、相場が変動した時の心の動揺を抑えることが出来るかもしれません。

株式のリターンとリスク

統計数字と言うと何やらハードルが高くなりますが、実際の数字は、とても簡単なものです。

株式の平均リターンは約7%

株式のポートフォリオ(全世界株式やS&P500指数に投資するインデックス投信など)に投資をした場合の平均リターンは、年率7%程度になります。この7%という数字は、投資の世界のマジックナンバーの一つです。年率7%で複利運用すると10年で元本が約倍になります。またこのマジックナンバーを「72の法則」と呼んだりもします。これは、72を複利の年利回りで割ると、10年になる年数がでます。年率7%なら72を10で割って10年で倍です。また年率1%なら倍になるのに72年かかることになります。

リスク(変動率)は20%

リターンの次に重要なのが、リスク(変動率)です。リターン7%というのは、あくまでも長期で運用した場合の平均です。
実際に株に投資するとわかると思いますが、株に投資すると、ある年には2割以上上昇する年もあれば、2割以上下落するとしもあります。
投資の世界ではこの変動率を受験の偏差値でお馴染みの”標準偏差(偏差値)”で表します。難しいことは、さておき年率20%ぐらいは上がり下がりがあるというふうに覚えておきましょう。
例えば、投資を始めた翌年に相場が20%下落することは長く投資をしていれば日常茶飯事です。100万円が80万円になるのは、初心者にとっては恐怖感に襲われて苦しくて夜も眠れなくなるかもしれません。しかし、この程度の変動はよくある話なのです。こればかりは、慣れるしかありません。

予め損失額を予想しておく

投資を始める前に、この年間20%の含み損失に耐えられるか事前に予習しておきましょう。人間はパーセントで20%の損失と言われてもピンときません。そこで、実際に20%の含み損の金額を計算してみるのです。
例えば新NISAで年間120万円投資するなら、その20%は24万円です。満額の年360万円投資するなら、20%は72万円の含み損になります。
この金額の含み損失が出ても貴方は耐えられる(無視できる)でしょうか?

また逆もしかりです。20%超の含み益になった時も”泰然”としていられるでしょうか。利食ってしまおうという気持ちにならないでしょうか?120万円投資なら24万円の利益、360万円の利益なら72万円の含み益が1年で出る可能性は十分あります。
しかし老後の備えやFIREのために投資をするなら、この程度の利益は長期投資を前提に”放置”する必要があります。
私が投資をしていて一番精神的に苦しかったのは、この”大きな含み益”が出た状態から、相場が下がって”利益が減っていく”時です。この時の精神的苦痛は、ただ単に損失が出た時より苦しいものがあります。高値で利食わなかった後悔と自己嫌悪、さらに含み益が減っていく恐怖がないまぜとなり精神をかき乱されます。
投資で成功している人の大半は、この”凄まじいストレス”に耐えた人たちです。

よく積み立て投資は「簡単」という人がいますが大間違いです。むしろギャンブルのような短期投資より精神的ストレスが長期間に渡り継続して続くため、「精神的にタフ」でないと投資を継続することは出来ません。

10年に一度の大暴落

1年にどれぐらい含み損(含み益)の可能性があるか把握したら次は10年に一度の大暴落の番です。ここ2、30年の間、後に「〇〇ショック」と呼ばれるような株式市場や為替市場の大暴落(大変動)が、10年ほどの間隔で定期的に起きています。
直近の40年ぐらいだけでも以下のような危機が起きています。

  • 1985年:プラザ合意…超円高、ドル円が1年で240円から1年で120円台まで100円以上円高ドル安に進む
  • 1987年:ブラックマンデー…一日でNY株価20%超下落
  • 1990年:日本株大暴落…バブル崩壊が始まる
  • 1990~1991年:湾岸戦争…原油価格急騰、バブル崩壊に追い打ち
  • 1992年:ポンド大暴落…ジョージ・ソロスがBOEを破る、イギリスがERM離脱
  • 1994年:メキシコ通貨危機、ドル暴落、超円高(79円75銭)
  • 1997年:アジア通貨危機、山一・拓銀ショックで日本が金融恐慌
  • 1998:ロシアデフォルト、巨大ヘッジファンドLTCM破綻
  • 2001:ITバブル崩壊、9・11同時多発テロ…株式市場大暴落
  • 2003年:イラク戦争、りそなショック
  • 2007年:サブプライム危機
  • 2008年:リーマンショック…株価約50%下落、超円高
  • 2011年:東日本大震災…株価暴落、超円高
  • 2010~:ギリシャショック
  • 2013年:日銀異次元の金融緩和(黒田バズーカ)
  • 2015年:チャイナショック
  • 2016年:トランプ大統領
  • 2020年:新型コロナウィルス・パンデミック…株価が一時30%超下落
  • 2022年~:ウクライナ戦争

ちょっと思い出すだけでも株価が短期間で変動したイベントが、これぐらいありました。

つまり新NISAを使って長期の資産運用をすると5年に一度ぐらい大きな相場変動が起き、更に10年に一度は、超大型の相場変動が起きるということです。

新NISAで投資を始める人は、実際に5年、10年積み立て投資をした金額を想定して、”大暴落”が起きた場合の”予想損失額”を予想してみましょう。下落率は50%程度を見ておけばいいでしょう。そして自分がその含み損失を半ば無視して”泰然”としていられるか想像しておきましょう。

投資で大きな資産形成をしようとするなら、このような相場変動に見舞われても平静を保ち、投資を継続できる”胆力”が必要になります。
実際にここ10数年でも、リーマンショックやコロナショックを乗り切った(投資を継続できた)投資家は、大きなリターンを達成しています。

ショックの事前予測は不可能

また大事なことの一つは、このような「~ショック」を事前に予想することは、殆ど不可能だということです。新NISAで初めて投資をする若い人には、理解できないかもしれませんが、2008年に発生した超ド級の”リーマンショック”でさえ、僅か一か月前でも発生を予告していた人は稀でした。
当時のFRBのバーナンキ議長でさえ、危機が起きる3か月前のFOMCにおいて、「危機は峠を越した」という趣旨の発言をしています。

それでも株価は上昇を続けた

更に驚くべきことは、これだけ事件・ショックが起きているにも関わらず、後から振り返ってみると、世界の株式市場、特に米国の株式市場は、右肩上がりで上昇をし続けているということです。その上昇率は、S&P500が設定された1957年以来で年率11%弱、直近の10年だと年率14%強程になります。

十分に分散された株式ポートフォリオ(インデックスファンド)を保有し続ければ、かなりの確率で資産形成ができる可能性が高いと思われます。

もし控えめな平均7%のリターンが続けば10年で倍、20年で4倍、もし定年近くまで積み立て投資を継続すれば、元本の10倍を超えることも十分あり得ます。

大恐慌クラスの大暴落

今までは5年から10年の間隔で起きる「~ショック」の話でしたが、最後に超ド級の”大恐慌クラスの大暴落”の話もしておきましょう。

学問的に証明されたわけではありませんが、経済には60年から80年周期のサイクルがあるといわれています。所謂”コンドラチェフサイクル”と呼ばれるものです。

このコンドラチェフサイクルの大暴落と言われているのが、日本で1990年代に起きたバブル崩壊による株価の大暴落と山一・拓銀ショックで有名な金融恐慌です。

またアメリカでも1929年10月に株価が大暴落し、その後1930年代には、世界史でも有名な”世界大恐慌”が発生しています。この大恐慌は、何と第二次世界大戦の引き金にもなっています。

実は、この”大恐慌”クラスの大暴落にも以下のようなパターンがあります。

(1)経済覇権の交代(の兆し)

1980年代に日本で発生しバブル経済の下では、それまで自由世界のチャンピョンで、かつ世界随一の経済大国だったアメリカに代わって、日本が世界一の債権大国に躍り出ました。また日本のGDPがアメリカの三分の二、世界経済の18%近くを占めるなど、日本がアメリカに代わって世界を支配するのではないかとの観測さえありました(ジャパンアズナンバーワン)。
1930年代の世界大恐慌に先立つ1920年代にも同じことが起きています。第一次世界大戦を受けて、経済的な覇権が、大英帝国から新興国のアメリカに移っています。そして第一次世界大戦の戦費のつけ払いを支払うために、大英帝国がため込んでいた黄金(ゴールド)が、実際にBOE(イングランド銀行)からアメリカに送付されています。大戦後の1920年代の半ばには、完全に世界の覇権が大英帝国から新興国のアメリカに移っています。

(2)金余りと意図せざる金融緩和

新たに覇権国となった国では、膨大な経常収支の黒字が原因で大規模な金余りが発生します。本来なら好景気で金融引き締めが必要なところですが、為替が高くなることも多く、消費者物価は安定したままのことが多いようです。
そのため金融当局の引き締めが遅れがちになります。

また興味深いことに、多くのバブルでは、外生的なショックや事件によって”好景気の中での金融緩和”が行われます。これは、国際資本が新覇権国に集中することで、それ以外の債務国では、資金不足が原因で国際的な債務危機が発生し、最終的に国際協調などの名のもとに”好景気の中の金融緩和”を行わざるを得ない状況になるからです。
1920年代のアメリカでは、ドイツの戦後処理に伴う巨額の賠償金の問題で、欧州に対して大規模融資が行われ金融緩和的状況となっています。
また1980年代の日本では、バブルに先立つ1985年に有名な”プラザ合意”がありました。
また2000年のITバブル崩壊でも、これに先立つ98年に、ロシアのデフォルトに端を発した巨大ヘッジファンドLTCMの破綻に際して、国際的な金融緩和が行われています。

(3)バブル経済発生

経済覇権が移動すると、次の覇権国と思われる国では、金余りが発生し大規模な金融緩和が行われます。その結果バブルが発生、株価や不動産が数年で数倍に急騰します。またこの過程で、不動産や株に対する大規模な投機資金への融資が実行されます。これが後に不良債権の山となってバブル崩壊の原因の一つとなります。

興味深いのが、多くのバブルで意図せざる金融緩和が行われていることです。

(4)株価暴落

バブルにより株価や不動産価格が、実体経済から大幅に乖離し上昇しますが、程なくして株価が大暴落、続いて不動産も暴落し、銀行は不良債権の山に苦しむことになります。株式の下落幅は最終的に80%程度にも達します。

(5)金融恐慌

不良債権が原因で、最終的に金融恐慌が発生し、銀行の倒産整理と公的資金の投入が行われます

(6)デフレ経済

不良債権処理の影響で経済はデフレに陥ります

(7)株価は八割下落も

株価は、20%超の大暴落の後、数年かけて高値から70%から80%ほど下落します。昔から日本の相場では「半値八掛けに割引」という格言があります。半値(-50%)×八掛け(0.8)×二割引(0.8)ですから、0.5×0.8×0.8=0.32で、高値から68%の下落になります。あながち間違っていないようです。

株価が元にもどるには30年必要

大暴落の後に株価が元に戻るのには、過去の経験則を当てはめると最低20年から30年ほどかかっています。

実際に1930年代の大恐慌の際には、株価が1929年の高値を再び抜いたのは、何と第二次世界大戦後の1954年12月で、約25年ほどかかっています。配当込みで計算しても1945年1月、15年以上かかっています。日本のバブル崩壊の場合、33年経った今でも1989年12月28日の大納会につけた最高値を抜けていません。

大恐慌への心構え

もしかしたら今後数十年以内に大恐慌クラスの大暴落に直面するかもしれません。その場合は、どのような投資をしていても避けることは出来ないでしょう。空売りすれば儲かると考えている人も居るかも知れません。1930年代の世界大恐慌では、当初は空売りで大儲けした人も居ました。しかしそのような投資かも数年のうちに資産の大半を失い、破産した人が多いようです(有名な投機家のジェシーリバモアは拳銃自殺しました)。これは、大暴落後の相場の乱高下が激しく、歴戦の投機家と言えども利益を上げることが難しかったからでしょう。

分散投資なら3年で元に戻る

仮に近い将来大恐慌クラスの大暴落が起きるとして、世界中の株価が一斉に暴落する可能性はどうでしょう。可能性はゼロではありません。そして大恐慌が起きたとしたら、投資をしていようとしていまいと逃れることはできないでしょう。

しかしここでも面白いデーターがあります。もし相場のピークで債券と株式を半分半分など標準的な分散投資の手法で積み立て投資を続けた場合です。大恐慌時の時には、株価のピークである1929年8月のド高値で投資を開始したとしても、何と3年後には投資元本を上回っています。
また日本のバブル崩壊でも、かりに株価のピークである1989年12月に株や債券に分散投資をする標準的なポートフォリオで積み立て投資をした場合には、バブル崩壊後の株価急落局面でも殆ど元本を割り込むことはありませんでした




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