最近、日本の株式市場がニュースの話題になっている。5月も後半になってから日経平均株価があれよあれよと言う間に上昇して三万円台に乗せ、ついにバブル後最高値を更新してしまった。
この日本株の上昇を受けて、ニュースなどでは「すわ日本株式の復活か!」とか、ついでに「日本経済の復活か!!」とかの論調まで出る始末である。
またこの突然の上昇には、多くの投資家が付いていけてないだろう。日経平均の上昇を横目に見て”地団駄を踏んでいる”投資家も多いことだろう。
そこで今回は、日本株の上昇を受けて夜も眠れない多くの日本国民に向けて「ま〜落ち着きなさい」という何の役にも立たない話。
ワイドショーにも取り上げられるようになっている。
日本株上昇の原因
今回の日本株の上昇に関しては幾つかの要因が指摘されている。一応列挙しておくが、正直どれもあまりピンとこないものばかりだ。
日銀の緩和維持
4月開かれた植田新日銀総裁下の初めての金融政策決定会合で、黒田日銀を継承して取り合えず”金融緩和の継続”が決定されたことから、急激な政策変更への不安感が払しょくされた。ただ、今後も日銀が現行の超超金融緩和を継続するかは不明だ。一部では弊害の多いYCC政策を6月にも見直すとの観測も出ている。
バフェットの来日
一番人気があるのがこの説だ。去る四月に投資の神様として有名なウオーレン・バフェット御大が来日して視察を行った。バフェット率いるバークシャーは数年前から日本の総合商社の株式を買っているのは有名な話だ。
台湾有事とTSMC熊本工場
ここ数年、米中対立と来るべき台湾有事に備えて、現状台湾に集中している先端半導体工場を各国に分散させる動きが出てきている。この動きの一環か、昨年から半導体ファンドリー最大手で泣く子も黙るTSMC(台湾半導体)が、熊本県に工場を建設している。またアメリカのアリゾナ州で最先端の半導体工場の建設も始まっている。
この話を単純化すると、米中対立の結果として漁夫のを得るのは日本というロジックだ。ただ、もし本当に台湾有事が勃発した場合には、日本も巻き込まれ最悪ミサイルが飛んでくると言われている。
FRBの利下げ期待
インフレの昂進を受けて、昨年2023年に急激に利上げに踏み切った米FRBが、今年秋口にも利下げに転じるのではないかとの観測が市場で出ている。ただこの話は、株式市場全体にとって有利と言う話にはなっても日本株だけの要因とはいいがたい。またFRBが利下げに転じた場合には、為替市場が円高に振れる可能性も有り、日本株に有利とはいいがたい。
ただのインフレ
一番身も蓋もない説明がこれだろう。別に株価が本質的に上がったのではなくて、円安とインフレによる上昇と言う話だ。
大切な話・・・日本株のシェアーは6%弱
突然の日本株上昇の原因は正直分からない。しかし一つだけ指摘したい点がある。それは、世界の株式市場の中の日本株の位置づけた。
実は日本株の世界の時価総額に占める割合は、”たったの6%弱”に過ぎない。昨今は強烈な円安の影響もあり5%台に沈んでいる。
この世界の株式時価総額に占める日本株のシェアーだが、一番高かった1994年には26%もあった。その時の米国株のシェアーは34%。今より大分小さい。
【Vol.95】世界の株式市場はどのような企業で 構成されているの︖ | 三井住友DSアセットマネジメント (smd-am.co.jp)
インデックス投資が主流
次に重要な点は、世界の株式投資資金の大半を占める各国の年金資金などは、パッシブ運用されているという点だ。馴染みのある言葉で言えば”インデックスファンド”か、または同じような手法で運用されている。多くのファンドは、MSCIなどのインデックスに沿って投資が行われている。ウオーレン・バフェットのように自ら分析により投資を行うアクティブ投資はむしろ少数派だということだ。
インデックスから少しずらす
各国の年金など機関投資家の資金の大半が、パッシブ運用(インデックス運用)されているのは上に述べたとおりだ。ただ、これだとファンドマネージャーの大半が失業してしまう。そこで多くのファンドマネージャーが更に有利な運用結果を残すために、微妙にインデックスから投資割合をズラして運用している。ここがファンドマネージャーの腕の見せ所だ(というか、ここしか差別化する部分がない)。
因みになぜ年金などの大口機関投資家がパッシブ運用するかと言うと、簡単に言うと責任逃れのためだ。パッシブ運用している限り、もし運用資産が大きく目減りしても”市場が悪かった”と言い訳できる。自分の相場観で運用して失敗した場合には目も当てられない。
割合を少しずらすだけで大暴騰
例えば、インデックスに忠実に運用されている年金基金があったとして、バフェットの日本株投資のニュースを聞いて、日本株への投資割合をインデックスの5%台から7%台に変更したとする。世界全体の投資割合の分配からすると僅かな割合の変更だ。
しかしこの投資割合の変更は、日本株にとっては大きなインパクトがある。5%が7%になるのだから投資資金が40%も増えることになる。40%も日本株への投資額が増えれば、そりゃ当然に株価は上がるだろう。
日本経済大復活の話ではない
一部には日本株の復活のみならず日本経済大復活と囃し立てる向きもいるようだが、正直に言うと「大きな勘違い」ということになるだろう。むしろインフレで庶民の生活は更に厳しくなるかもしれない。
ウオーレンバフェットが日本株に注目していると言っても、彼の巨額の運用資産からしたらごく一部だ。いまでもバークシャーの資産の大半がAppleだ。資金の半分を日本株に投資したというのなら話は罰だが、たかだか数パーセントだ。
それでも日本株には強気
日本株急騰の要因をいくつか挙げたが、その全てが影響しているというのが正しいところだろう。その中でも一つを上げろと言われれば「インフレ」が一番大きいと考えている。超々金融緩和と昨今のインフレの影響で不動産は10年前の倍になっている。株価が倍になっても何らおかしくない。個人的には、バブル時の最高値を抜けて5万円ぐらいになってもおかしくないと思っている。もちろんインフレが主因だ。
それでもインデックス運用から外れない
日本株に強気だからといって、個人的に日本株に傾斜配分するかと言うと正直しない。今まで通り淡々とインデックス運用するだけだ。

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