11月10日に発表された米CPIが市場予想を下回ったことから円相場が急激に円高に振れている。併せて株価も急騰する展開に。このブログを書いている次点(11月12日土曜日)時点では、138円台まで約12円近く円高ドル安となっている。
急激にな円高に驚いた人への気休め
急激な円高に驚いた人も多いだろう。特にここ最近は、多くのメディアで円安を取り上げていた。特に気になったのが以下の記事にも書いた「海外就職でウェイウェイ!」という話。こういう極端な話が出る時は相場のピークが近いことが多い。今回の急な円高もいい経験と割り切った方がいいかもしれない。
因みに、以下の記事の通り、個人的には145円を越えたあたりで、一旦ドル買いのポジションを閉じていたので、今回の急激な円高には巻き込まれずに済んでいる。
多分当たらない今後の相場予測
トレードが上手くいった後のの相場予測というのは、大体当たらないものだが、一応今の考えをメモしておくために考えを纏めておこうと思う。
インフレはなかなかしつこい
まず今の相場の基底となっている「世界的なインフレ」に関しては、かなりシツコイと考えている。原因には、ウクライナ戦争によるエネルギー価格の高騰もあるが、根底には「世界的な人手不足」があると考えているからだ。
折しも、早ければ今年(2022年)中にも、世界の工場の中国で「人口の減少」が始まるとの見方だ出ている。過去30年間続いたグローバル化で、世界に超安価な労働力を供給してきた中国での労働力の供給が枯渇するとなると、30年続いた世界的「ディスインフレーション」と「超低金利」は終焉を迎えることになるだろう。物価と金利の上昇に伴って、株や不動産などの資産価格も大規模な調整が避けられない。
メガ・トレンド・・・近じか人口減少が始まるらしい | 団地君のゆるゆるセミリタイアライフ (poorblackgoat.com)
インフレを解消するのは不況
世界各国はインフレ対策を打ち出しているが、冷静に考えるとインフレを鎮静化させる魔法の方法はない。方法は二つだけだ、一つは技術革新で生産性を劇的に上げること。1970年代の2度のオイルショックの際には、欧米諸国がインフレ対策で財政支出を増やしたのに対して、我が日本は国を挙げての省エネで乗り切った。そして、この省エネが1980年代の日本の黄金時代の基礎になった。
今回のインフレに対しても世界各国は、国民への補助金のバラマキに走っている。しかしいくら補助金をバラまいても天然ガスの価格が下がるわけではない。インフレを悪化させるだけだ。市場の圧力でイギリスがこのチキンゲームから早々と脱落したのは興味深い。
もし省エネが出来ない場合は、「不況」で経済は調整される。要は物価が上がり庶民の生活レベルが下がることでインフレ分が調整されることになる。
FRBは今回も失敗する
今年に入ってからFRBは急激な利上げでインフレに対抗しようとしている。だが、インフレの原因が一時的な需給ショックでなく(当初はFRBはそう考えていたようだ)、根底に「世界的な人手不足」があるとするなら。利上げだけでは対応できないだろう。国民に忍耐を強いる「生産性の向上」が出来ない場合(国民に優しい政府の場合)、「物理的に消費を減らす」ことをしない限りインフレは沈静化しない。
グローバル化が進んだ過去30年の間、低金利とディスインフレ下で、FRBは金融と不動産のバブルを煽り、バブルが破綻した時は「超低金利」で対応することを繰り返してきた(そして危機の度に金融緩和が大規模化してきていた)。しかしインフレが常態化した場合には、この手が使えなくなる。
今後の金融政策を予想すると、インフレの鎮静化を見込んで一旦は利上げペースを落とすも、しつこいインフレを受けて「予想外の長期間」利上げを維持せざるを得ない状況にFRBが来年追い込まれることになるかもしれない。そうなると本格的に「不況入り」だ。
日銀は利上げしない(かもしれない)
日銀に関しては「本格的な利上げは先送り」と考えている。来年2023年春には、黒田日銀総裁が任期を終える。黒田総裁の退任後には、2013年以来10年続いた「アベノミクス」と「黒田バズーカ」の終了が見えてくる。だが新総裁率いる日銀が、大規模な金融引き締めに動くことは、少なくとも直近ではないと考えている。もし長期国債の買い入れをイキナリ停止するような大胆な政策転換を行った場合には、市場へのショックが大きすぎる。YYCのレベルを徐々に引き上げながら、国債の購入額を徐々に減らすなど、マイルドな修正を行うにとどまるはずだ。
日本のインフレ率
日本でも足元で徐々に物価上昇が高まっている。昨年(2021年)までは、日本では企業物価指数が10%近い上昇をしているにもかかわらず、消費者物価の上昇は抑えられていた。しかし今年に入り徐々に物価上昇率が高まり、8月には3%を超える物価上昇となっている。今後も来年にかけて徐々に消費者物価への転嫁が続くだろう。また来年度(2023年度)には、春闘で5%程度の大幅な賃上げが予想されている。場合によっては、5%程度の物価上昇となるかもしれない。
インフレ税
ここで頭に浮かぶのが「インフレ税」だ。仮に日本の消費者物価の上昇が常態化したにも拘わらず、日銀の金融引き締めペースが緩やかな場合には、預金者に対して「一種のインフレ税」が課されることになる。YYCをイキナリ停止すると、日本の長期金利が急激に上昇し、財政赤字の急膨張や、住宅ローン金利の急上昇などの副作用が予想される。そうなると物価が上昇しているにも拘わらず、日銀の金利正常化は非常にゆっくりとしたペースで行われる可能性が高い。これは一種の「インフレ税」だ。
ドル円の均衡レベルは
以上の材料をつらつらと考えると以下の通り。
- 米国ではしつこい物価上昇が続き、FRBは長期間利上げを継続、年後半には不況の足音
- 日本では物価上昇が本格化するも、日銀の金融引き締めペースはゆっくり、インフレ税も
以上から、「今年初めから続いた大幅な円安トレンドは転換するも、大幅な円高にも振れにくい」という、面白くもなんともない結論になった。あくまでも感覚的だが、一ドル=125円程度を予想している。
日本株は意外に好調、米株は残念か
株式市場に関しては、日本株は「意外に好調」な動きを予想している。理由はインフレによる物価上昇が売り上げに寄与するほか、一種のインフレ税により実質金利が大幅なマイナスで推移することや、為替相場が125円程度のレベルで推移するなら、為替相場の影響も限定的に留まると思われるからだ。
一方で、米国株に関しては残念な結果に終わる可能性があると考えている。足元では、インフレ鎮静化と利上げ打ち止めを見込んで一旦リバウンドする可能性は高い。しかしインフレの鎮静化が遅れ、利下げのタイミングが遅れるに従って「インフレ下の不況(要はスタグフレーション)」の文字がちらつき始めるからだ。
個人的な投資方針
個人的な投資方針としては、ドル円が125円近辺まで下がったタイミングで、ドル買いと、2024年以降の不況によるFRBの金融緩和への転換を見越して米国債への投資を行う予定。
もちろん、基本的な分散ポートフォリオは、リバランス以外は手を付けないのは言うまでもない。


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