2020年に始まったコロナ禍でFIRE(経済的独立・早期退職)が世間の注目を集め居てる。最近は近所の本屋に行くとFIREコーナーがあるほどだ。
だが、多くの人がFIREにチャレンジしたり憧れを持っていても、実現できる人は極わずかだ。
その差は、どこにあると考えた時、思いついたのが表計算ソフトのエクセル(Excel)を使いこなせるかだ。
FIREを実現するためには「希望的観測」を排除して、お金を数値化する必要がある。要は「見える化」だ。その上で、現実可能なシミュ―レーションをし、計画を立て実行するのだ。
そこで「FIREのためのExcel講座」と銘打って、FIREを達成るための基本的なExcel術を紹介したい。今回は、ExcelのIRR()関数を使ってサラリーマンにお馴染みの厚生年金の利回りを計算してみた。
厚生年金の利回りをIRR()関数で計算してみる
前提条件
| 報酬総額(年・円) | 600万円 | 平均標準報酬額(月)50万園(*ボーナス込み) |
| 保険料率(%) | 18.3% | 労使折半 |
| 保険料額(年、円) | 109万8,000円 | ※端数の処理で違うことがあり |
| 加入期間(年) | 40年(480ヵ月) | ※20歳〜60歳まで加入した場合 |
| 給付乗率 | 0.005481 | ※平成15年(2003年)4月以降(それ以前は7.125) |
| 受給額(年、円) | 131万5,440円 | 平均標準報酬額(月)×0.005481×480ヵ月 |
| 受給総額 | 209万3,240円(月額17万4,436円) | 基礎年金77万7,800円+厚生年金 |
| 受給期間 | 男性:17年、女性:23年 | 平均寿命で計算(男性:81歳、女性87歳) |
計算シートの例
計算シートの例は以下の通り。セルに”IRR(データー範囲)”と入力すれば計算できる。
シートの独身男性の例だと、セルC11に”=IRR(c13:c74)”と入力している。


厚生年金の利回りは実質マイナス
計算結果を見て驚いた人も多いかも知れない。会社負担分も含めた厚生年金の利回りは、独身男性では何と驚きの「マイナス」になる。要は「年金に入らずに自分で貯金したほうがまし」という結論になる。男性より長寿の女性では、独身でやっと「とんとん」という程度。会社員+専業主婦の場合でやっとプラスになる程度だ。
会社負担分に関しては、「会社が保険料を半分負担してくれている」と考えている人も多いかもしれない。しかし会社から見た場合「人件費の一部」と言うことに変わりなく「実質給料の一部」だ。従って会社負担分も含めた18.3%で計算するのが妥当だろう。
個人負担分だけで計算した場合
会社負担分を除いた個人負担分(給与明細から引かれている額)を基に計算すると、プラスのIRRになる。毎年送られてくる「年金定期便」に載っている内容だ。何人もの人が既に指摘しているが、年金定期便に乗っている払い込み済みの掛金には「会社負担分」が含まれていない。この計算だと見かけ上はプラスの利回りになる。殆どの人がこの年金定期便さえ見ないので、厚生年金のカラクリに気付いていない。

厚生年金の掛け金が流用されている?
40年流用が続いている
今年(2022年)に入って参議院選挙が終わってから、政府から立て続けに年金の制度変更に関するニュースが流れてくることに驚いた人も多いかもしれない。特に厚生年金から国民年金の穴埋めに資金が流用されるかもしれないという話や、年金の納付年齢を60歳から65歳に延長する案に驚いた人も多いだろう。しかし実は、40年近く前の1986年に基礎年金制度が作られ、厚生年金と国民年金が統合されて以来、厚生年金から国民年金への資金流用が続いていることは、あまり認識されていない。
流用は国鉄民営化と専業主婦が原因?
基礎年金(国民年金)制度が出来た大きな要因として考えられるのが1987年に行われた「国鉄民営化」だ。この時に国鉄は終戦直後に採用したOBとOB予備軍を大量に抱えていた。そのままでは国鉄職員向けの年金制度である共済年金は、破綻必至の情勢だった。そのため資金に比較的余裕のあった厚生年金から制度改正性の際に、密かに国鉄の年金に対して資金の穴埋めが行われたらしい。
また同時期にそれまでは国民年金への任意加入のみだったサラリーマン家庭の「専業主婦」を対象とした国民年金3号被保険者制度が作られたことも原因の一つだ。
計算してみて初めて分かる・・・FIREも同じ
普段は、あまり意識していない年金制度だが、自分で計算してみると、その実態が見えてくるだろう。
FIREも同じだ。ただ闇雲に節約したり株に投資してもFIREに達成には遠い。数値化して無理なく実行できる計画を立て、PDCAサイクルを着実に実行できるかがFIREの成否を決める1
また、この適切な目標設定と計画作成、PDCAを廻す能力は、実はビジネスを遂行する能力と同じだ。FIREを達成している人の多くが大企業のサラリーマン出身なのは、このためと思われる。
Excelなどの表計算ソフトは、そのための強力なツールであり、必要不可欠だ。
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