GW中に外遊に出ていた岸田首相が、ロンドンの金融街シティーで現地の金融関係者を前にして、自らの経済政策である「新しい資本主義」をテーマに講演をした。その中で、「資産所得倍増プラン」なる言葉が飛び出してきた。この資産所得倍増プラン、一見すると日本国民の「所得」を倍増させた1960年代の「所得倍増プラン」を連想しがちだ。しかし、よくよく考えてみると「資産所得」を「倍増」させると言っているようにも聞こえる。「資産」と「所得」を倍増させるつもりなのか、はたまた「資産所得」を倍増させるつもりなのか?この二つは、結果が大きく異なる。
岸田首相が言ったのは「資産所得」の倍増
「所得倍増」と聞いて自分の給料が増えるのか!とぬか喜びしている人が、いるかもしれないが、それは大きな誤解だ。岸田首相が言ったのは、あくまで「資産所得」の倍増だ。資産所得とは、資産から上がる収入のことだ。預金や国債の利子、株式の配当の話だ。給料の話ではない。
「資産」が無ければ「資産所得」もない
「資産所得」を得るためには、そもそも「資産」が必要だ。そして言及したのは2000兆円とも言われる「個人金融資産」だ。もし、あなたが預金、国債、株式などの金融資産をそもそも持っていないとしたら、それは貴方が「資産所得倍増プラン」の対象外ということだ。残念!
資産所得が倍増すると格差も増大
ここで首をかしげたくなるのが、岸田首相が自民党総裁選の時に唱えていた「新しい資本主義」との関係だ。今回のロンドンでの講演でも、格差縮小などの社会課題に対応するために現在の資本主義をバージョンアップする必要があると語っていた。しかし、もし「倍増」させるのが「資産所得」なら、むしろ「格差」は拡大してしまう。言っている事が支離滅裂だ。
金融所得課税で一網打尽か
ここで気になるのが、岸田首相が就任早々に言及していた「金融所得課税」との関係だ。常々、財務省などの政府当局者の一部は、現行の20.315%の株や債券などの分離課税を変更して、総合課税を導入することを目論んできたように思われる。高額所得層の株や債券からの収入に45%の馬鹿高い所得税を課そうとするものだ。マイナンバーを利用して預金や証券口座を紐づけして一網打尽に税を毟り取ろうと画策していた。今回の岸田首相の意味不明な講演も、この線から捉えると納得がいく。庶民に虎の子の預金を株などのリスク資産に投資させて、上がった利益の半分以上を税金で召し上げようとするものだ。これなら新しい資本主義とも整合性が取れる。
政府は貴方の資産を狙っている
少子高齢化で日本の財政が遅かれ早かれ行き詰まるのは自明の理だ。なにしろ人口の三分の一が年金暮らしの高齢者になるのだから。かと言って、これ以上現役世代から税や社会保障を搾り取るのも限界がある。そうなると後は、2000兆円とも言われる個人金融資産に政府が手を突っ込もうとするもの時間の問題だろう。せっかく現役時代に一生懸命働いて蓄えた虎の子の金融資産を政府が狙っていのは間違いない。今回の岸田首相の「資産所得倍増計画」も、結局は資産のある国民から「金を搾り取る」社会主義政策に他ならないように感じる。
資産の分散が必要かも
世界的なインフレと、欧米の利上げを受けて、10年近く続いた「アベノミクス」も終焉も迎えた可能性が高い。そうなると経済成長によって高齢化のコストを吸収することも不可能になる。人口の三分の一、有権者の半分近くを占める高齢者の年金を確保するために、ついに政府はなりふり構わずに国民の資産に手を突っ込もうとしていのかもしれない。これに対しては、資産を海外や法人に分散させるなど、各々が自己防衛するしかない。

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