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株価が暴落して落ち込んでいる時に、気休めに読む話

5月3日、4日に行われたFOMCで0.5%の利上げが実施されて以降、株価の下落に加速がついている。FOMCの直後には株価は、一旦上昇したものの、週末の5月6日は下落に転じて、週明けの5月9日には、ナスダックを中心にまた下落した。コロナ下で投資を始めた投資ビギナーの中には、今回の下落に直面して落ち込んでいる人も多いだろう。だが今回の下落の原因は、はっきりしている。それはインフレと「利上げ」だ。よくある景気の過熱に伴う調整に過ぎない。と言うことで、今回は「株価が下落して落ち込んでいる時に、気休めに読む話」。

金利が上がると株価が下がるのは当たり前

金利が変動すると、それ以外の条件に全く変化がなかったとしても理論的な株価は変動する。以下は、現在の利益が100、毎年の利益成長率が10%の成長企業の理論株価の計算値だ。

一番一般的な理論株価は、100/(1+0.05)+110/(1+1.05)・・・のように各年の予想利益を金利で割り引いて計算する。一年目なら1+0.05、2年目なら(1+0.05)^2で算出した割引率で割り引いて計算する。そして割引かれた各年の予想利益を合計したものが理論株価になる。

下の表は2列目が利益成長率10%の将来の予想利益。3列目と4列目は、それぞれ1%と5%の金利で割り引いた予想利益、5行目と6行目が計算に利用した割引率だ。

予想利益現在価値
(金利1%)
現在価値
(金利5%)
割引率
(金利1%)
割引率
(金地5%)
0100.00100.00100.0011
1110.00108.91104.760.99009900990.9523809524
2121.00118.62109.750.98029604940.9070294785
3133.10129.19114.980.97059014790.8638375985
4146.41140.70120.450.96098034450.8227024748
5161.05153.23126.190.95146568760.7835261665
6177.16166.89132.200.94204523530.7462153966
7194.87181.76138.490.93271805470.7106813301
8214.36197.96145.090.92348322250.676839362
9235.79215.60152.000.91433982420.6446089162
10259.37234.81159.230.90528695470.6139132535
11285.31255.73166.820.89632371750.5846792891
12313.84278.52174.760.88744922530.5568374182
13345.23303.34183.080.87866259930.5303213506
14379.75330.37191.800.86996296960.505067953
15417.72359.81200.930.86134947480.4810170981
16459.50391.87210.500.85282126220.458111522
17505.45426.79220.520.84437748730.4362966876
18555.99464.82231.030.83601731420.4155206549
19611.59506.24242.030.8277399150.395733957
理論株価5,065.133,224.60

上の表では、3列目と4列目の最終行が、割引かれた予想利益を合計した理論株価になる。例の通り将来の予想利益が全く変動していないにも拘わらず、理論株価が大きく変動していることが分かる。当初5065だった株価が3224に40%近く下落していることが見て取れるだろう。

低成長企業ほど金利の影響を受けにくい

次は、利益成長率が1%しかない低成長企業の理論株価の計算例だ。金利の前提は同じだ。

この場合には、最後の行に表示してある理論株価が、2000から1417へと下落している。下落率は30%弱と利益成長率10%の企業よりは金利上昇のインパクトは低くなっている。これは、成長企業の方が株価に占める将来の予想利益(例えば10年後の利益)の影響が大きくなるからだ。この意味からもNASDAQなどの成長企業中心の株価が大きく下落することになる。皮肉なことに金利上昇局面では、コンスタントに足元で利益を稼ぐ低成長企業の方がインパクトが小さくなる。

もちろん金利上昇の影響は個別企業ごとに異なる。例えば借入比率が高い企業は、金利上昇のインパクトが強くなる。また不動産や建設など需要がローンによって左右される業種は、利上げで売上が大きく減少する可能性も高い、さらに金利上昇で経済全体が不景気になると、高額商品などは販売が不振になるだろう。またインフレによる原材料価格の影響も無視できない。価格転換が難しい業種は利益が落ち込むことになるだろう。

予想利益現在価値
(金利1%)
現在価値
(金利5%)
割引率
(金利1%)
割引率
(金地5%)
0100.00100.00100.0011
1101.00100.0096.190.99009900990.9523809524
2102.01100.0092.530.98029604940.9070294785
3103.03100.0089.000.97059014790.8638375985
4104.06100.0085.610.96098034450.8227024748
5105.10100.0082.350.95146568760.7835261665
6106.15100.0079.210.94204523530.7462153966
7107.21100.0076.190.93271805470.7106813301
8108.29100.0073.290.92348322250.676839362
9109.37100.0070.500.91433982420.6446089162
10110.46100.0067.810.90528695470.6139132535
11111.57100.0065.230.89632371750.5846792891
12112.68100.0062.750.88744922530.5568374182
13113.81100.0060.360.87866259930.5303213506
14114.95100.0058.060.86996296960.505067953
15116.10100.0055.840.86134947480.4810170981
16117.26100.0053.720.85282126220.458111522
17118.43100.0051.670.84437748730.4362966876
18119.61100.0049.700.83601731420.4155206549
19120.81100.0047.810.8277399150.395733957
理論株価2,000.001,417.82

対策はわりと簡単

では今回の金利上昇局面で一般の投資家は、どう対応したらいいだろうか。答えは割と簡単だ。

ポートフォリオ運用している長期投資家

もし分散されたポートフォリオを組んで運用しているなら、対策は特に必要ない。今まで通りリバランスを淡々とするだけだ。今回の下落局面でも組み込んでいた金や商品などが上昇して、株式や債券の値下がりをある程度相殺しているはずだ。インフレ局面では、株と債券が同時に下落する可能性が高いので、ポートフォリオ全体が縮小する可能性も高いが、これも長い運用ではよくある話だ。

積立投資家

もし老後など将来のために積立投資をしている投資家もスタンスを変更する必要はない。むしろ待ちに待った株式の下落局面が到来したので喜ぶべきかも知れない。むしろチャンスだ。

アクティブ運用

もし景気や相場観に基づいてアクティブ運用(裁量投資)しているなら、投資対象をITやハイテクなどの成長株から、インフレと利上げに強いエネルギーや貴金属などにシフトするだけだ。これも教科書通りだ。

今回の下落は分かり易い

今回の株価の下落の要因はインフレと金利上昇だと考えると、ある意味分かり易い。景気変動に伴う教科書的な下落と言えるだろう。金利上昇自体は、昨年秋口から言われていたことだし、インフレは1年以上前から上昇し始めていた。タラればになるかもしれないが「予想通り」だ。もし今回の下落で落ち込んでいるなら、ポジションの取りすぎか経験不足にすぎない。一旦、心の平静が保てる水準までポジションを縮小して勉強だと思って投資を続けよう。

投資を止めるのはもったいない

一番お勧め出来ないのは、投資自体を止めてしまう事だろう。過去の相場を振り返れば分かるだろうが、相場は約10年単位で変動を繰り返す。人生80年、大人になってから定年までの時間を40年とすると、体験できる景気や相場のサイクルは4回しかない。もしここで相場から足を洗ってしまうと、次に参入しようとするのは、早くても次の相場の高値近辺だろう。そして、あっという間に年を取って後で投資をしておけばと後悔することになるかもしれない。夜寝れる範囲で勉強代だと思って投資を続けることを強く勧めたい。

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