早、開戦から2カ月が経過したロシアによるウクライナ侵略で始まったウクライナ戦争。そんな中、ロシアが核兵器を使用するのではないかとの懸念が一部で高まっている。もしロシアが一発でも核兵器を使用した場合には、NATOの核による反撃を誘発し、最終亭には世界中を巻き込んだ「全面核戦争」が勃発しかねない恐れがある。そこで今回は、実際に東京が核攻撃された場合に何が起きるのか考察してみた。
ダイエットで有名な金森氏のtweetがきっかけ
ウクライナ戦争が勃発した当初から核戦争の可能性は、薄っすら意識していた。ただ本気で対策や準備をしていたかと言うとNOだ。今回、核戦争勃発の可能性を意識し始めたのは、投資とダイエットの世界では、知る人ぞ知る有名人の金森茂樹氏のtweetを見てからだ。金森氏は、新型コロナウィルスのパンデミックが始まった2020年1月の中頃には、新型コロナの世界的なパンデミックを警告していた。そして今回はウクライナ戦争が核戦争に拡大するリスクを警告している。単なるTwitter上のお騒がせ発言とは片づけられない。
核兵器って?
まず核兵器とは何かだ。普通の爆弾は、火薬の爆発的燃焼を利用した兵器だ。基本的原理は、マッチが燃えるのと一緒だ。一方で核兵器とは核分裂反応(または核融合)反応を利用した爆弾だ。通常はウラン(またはプルトニュウム)などが急激に核分裂することで猛烈な熱と爆発が発生する。ただ猛烈な爆発で被害を与える点では普通の爆弾と同じだ。ただ規模が大きいだけだ。
放射能
核爆弾と普通の爆弾の一番の違いは、やはり放射能だろう。普通の爆弾では熱と爆発力で敵を殺傷するが、核兵器ではこれに加えて強烈な放射線が放出される。例えると人間が、超強力な電子レンジの中に入れられるようなものだ。この放射線を直接浴びると人間の細胞が破壊され短期間で死に至る。また核爆弾の爆発で発生する粉塵は放射能で汚染されている。爆発と共に空高く舞い上がった粉塵が地上に降り注ぐことで広範囲が汚染される。この粉塵を人間が吸い込むと、吸い込んだ放射能で汚染された粉塵が、体内で放射線を発して所謂「体内被曝」の状態になる。また放射能で汚染された粉塵(フォールアウト)によって広範囲が汚染されると、水や農地なども広範囲に汚染されることになる。
核爆発が起こると何が起こる?
恐ろしい核爆弾だが、核爆発が起きると実際に何が起きるのだろうか。ただ怖がるだけでは何も対策が出来ない。実際に日本を攻撃する可能性のある核ミサイルで、現在最大規模と考えられるのは、中国のICBM東風に搭載されている核爆弾で5メガトンの威力がある。広島に投下された原爆の300倍程度の威力だ。以下は中国のICBMである5メガトンの東風ミサイルが東京駅の上空で爆発した場合の被害想定だ。中心の円が放射線の直接の影響を受ける地域、二番目の円が熱線に晒されて大規模火災が発生する地域、そして外側の円が爆風に晒される地域だ。

温度7000度の火球(半径2キロ)
核爆弾が爆発するとまず巨大な火の玉である「火球」が発生する。大きさは、核爆弾の規模にもよるが、日本の攻撃に使われる可能性の高い中国の核兵器を想定するとなると、広島に投下された原爆の300倍程度の5メガトン程度の水爆になるだろう。その場合には「火球」の直径は最終的に2キロメートルほどになるそうだ。そして温度は7000度にも達する。タバコの火の温度の600度程度、ガスコンロの温度1600度程度と比較しても超高温だ。もしあなたがこの7000度の火球の中にいたとすると一瞬で「蒸発」してしまうだろう。考えても無駄だ。
強烈な放射線
またこの火球の周辺は、核爆発から発生する強烈な放射線に晒される。丁度、原発の原子炉の中に飛び込んだような強烈な放射線を浴びることになる。人体は、ちょうど巨大な「電子レンジ」の中に入れられて加熱されているような状態になる。近くにいたら、やはり人間の細胞が一気に破壊されて即死だろう。かりに少々距離が離れていても、体の細胞が破壊されて急性放射能障害を発症して、早くて数時間、遅くとも2日程度で死に至るだろう。
秒速300mの爆風(半径12キロ)
核爆発が起こると同時に強烈な爆風が発生する。これは温度7000度の巨大な「火球」が発生すると周囲の空気が一気に膨張して猛烈な風が発生するためだ。秒速300mのというと時速に直すと1000キロメートルを越える。範囲は25キロ程度。要は「音速」の風が発生することになる。この猛烈な爆風に晒されるとほとんどの建物は一瞬で破壊されるだろう。特に木造の建物はマッチ箱の様にバラバラになる。またもしこの爆風に人間が晒されるとコンクリ―の壁に衝突したような衝撃を受けることになる。
またこの爆風により大量の破壊された建物の破片などが広範囲に飛び散ることになるだろう。建物や車などあらゆるの破片が弾丸の様に周囲に飛び散ることになる。
軽度の爆風は、半径35キロ近い範囲まで及ぶ。
高温の熱風・・・大規模火災(半径25キロ)
核爆発が起きると巨大な「火球」が発生すると述べたが。この火球はもう一つ周囲に「放射熱」を発する。放射熱で一番身近なのは「炬燵(こたつ)」だろう。こたつに直に触れていなくても手や足を晒すと暖かく感じる。あの熱だ。核爆発の周囲に居る人間は、距離が近ければ、この放射熱で一瞬で人間バーベキューになってしまう。5キロトンの核爆発だと周囲20キロ程度が、この放射熱を浴びることになる。直接浴びれば大やけどになる。仮に直接浴びることを避けられたとしても、周囲では猛烈な火災が発生するだろう。
死の灰
もし仮に核爆弾の直撃を避けられたとして、次に問題となるのが所謂「死の灰」だ。核爆発が起きると大量の塵や灰が上空に巻き上げられることになる。この塵や灰が風に乗って広範囲にまき散らされることになる。通常は核爆発から20分から1時間程度の間に強い放射能で汚染された塵や灰が降り注ぐことになる。もしこの死の灰を吸い込んだ場合には、体の内部から被爆することになる。所謂「体内被曝」だ。ただこの死の灰の放射能は、2週間程度で人体に影響のないと言われる1000分の一レベルまで減衰すると言われている。以下の図は、核爆発の影響を表示できるサイトNUKE MAPで東京駅上空で核爆発が発生した場合の死の灰の汚染予想範囲を表示したものだ。もちろん風向きで影響範囲は異なるだろうが、関東平野の広範囲が汚染されることが分かる。

核戦争の後
放射能汚染
核戦争の後、放射能汚染はどうなるのだろうか。意外にも放射能汚染の影響はそれほど長期間に及ばないとの見方もある。特に水爆の場合、原爆は核融合の起爆剤として利用されるだけなので、プルトニュウムやストロンチウムなど長期間残留する放射性物質は、原発事故などと比べても、それ程発生しないというのだ。実際、原爆が投下された広島長崎でも1年ほどすると放射線量は自然と変わらないレベルまで低下した調査研究もあるそうだ。
サバイバルの視点から見た場合、核攻撃から2週間程度で放射能の量は1000分の一程度に低下すると言われている。最低でも2週間の対策が必要と言うことだ。
核の冬
核爆発の最後の被害として想定されているのが、所謂「核の冬」だ。核爆発によって発生した大量の粉塵が空高く舞い上がり、一部は成層圏に達する。この粉塵は、成層圏に長く留まり最終的には世界を覆いつくす。そしてこの粉塵は数か月から数年成層圏に留まる。この粉塵が太陽光を遮り、大規模核戦争の場合には、地球の気温が数度低下するとも言われている。
この核の冬の概念が唱えられたのは1980年代だ。その当時は、全面核戦争が勃発した場合には、地球全体の気温が10度近く低下して、「氷河期」のような状態になると言われていたこともある。だたその後の研究で、核の冬の影響はそれほどないとの結果も出ている。氷河期にならなかったとしても、放射能汚染された農地では、少なくとも1年以上農業が不可能になる事に加えて、気温の低下による気候変動が加わると、農業生産が大打撃を受けることは間違いないだろう。核戦争後の人類を食糧危機が襲うことになる。
続く
次の回では、核戦争から生き残るための具体的なサバイバル方法と「シェルター」について考えてみたいい。

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