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【災害対策BCP】本気で核戦争に備える・・・その1.核戦争はあるのか?

2月末に勃発したウクライナ戦争も、早2カ月が経過した。そして残念ながら今のところ止む気配はない。そんな中、ロシアから核戦争の可能性を示唆する発言がいくつも飛び出してきている。まず、戦争開始直後にロシアのプーチン大大統領が核兵器部隊に対して「特別警戒態勢」を指示したと発表した。最近では、ロシアのラブロフ外相がウクライナ戦争が「第三次世界大戦(=核戦争)」の勃発を警告している。またプーチン大統領も、NATOのウクライナへの軍事援助に対して「電撃的な対抗措置」「他国にない兵器を保有している」「必要なら使う」と核兵器の使用をチラつかせている。果たして本当に核戦争のリスクはあるのだろうか。そして、その時日本と世界はどうなるのだろうか?

https://twitter.com/65oWBxA2XnF1jI0/status/1520248716606656512?s=20&t=rtVzC0BjykZrrNYaU4uHSw

可能性は、そこそこある?

今のところウクライナ戦争は、ロシアとウクライナの間で通常兵器を使って行われている。ロシアから度々核兵器使用の仄めかしはあるものの、核兵器だけではなく、生物化学兵器も使用されていない。では、核兵器が使用されるのは、どういった場合が考えられるのだろう。

ロシアの敗北が決定的となった場合

一番可能性が高いと考えられているのは「ロシアの敗北」が決定的となった場合だろう。例えば、ウクライナ軍が反撃に出て、ウクライナ領内のロシア軍が壊滅状態になったような場合だ。

ロシア系自治共和国にウクライナ軍が侵攻した場合

同様なケースとして、反撃に出たウクライナ軍が、2014年以来ロシア系住民が占領しているルガンスク人民共和国や、これもロシアが実質的に占領しているクリミア半島に侵攻した場合に、ロシアが警告として核兵器の使用に踏み切る可能性がある。

NATOがウクライナ戦争に参戦した場合

今のところNATO諸国は、各国がウクライナに対して軍事援助をしており、NATO軍はウクライナ戦争には直接派兵はしていない。ただもしロシア軍が盛り返してウクライナ領をほぼ手中に収め、ポーランドなどの国境地帯に迫って来た場合には、NATO諸国が直接介入する可能性も少なからずある。例えばNATO空軍が、追い詰められたウクライナ軍を防衛するために、ウクライナ上空に飛行禁止区域を設定するような場合だ。この場合、反発したロシアが、NATOに対してウクライナ領内からの撤退の最後通牒を発してもNATOが応じない場合には、ポーランドなどにあるNATOの空軍基地に対して核攻撃を行うかもしれない。

ウクライナ軍がロシア領を攻撃した場合

反撃に出たウクライナ軍が、ウクライナ領内だけでなく、ロシア領内のロシア軍に対して攻撃を拡大した場合にも追い詰められたロシア軍が核兵器で反撃に出るかもしれない。

ロシアが崩壊の危機に瀕した場合

ウクライナ戦争が何年にもわたって長期化した場合で、特に現在のロシア政府が崩壊の危機に瀕した場合にも、核兵器の使用の可能性があるかもしれない。この場合には、NATOに対してウクライナへの援助停止を求めて最後通牒を発し、応じなければウクライナやNATOの軍事基地などに対して核兵器を発射するケースなどが考えられる。

核戦争が勃発した場合

仮にロシアが核兵器を先制使用したとした場合、その後の展開はどうなるだろう。冷戦時代には、実際に核戦争になった場合の研究が米ソ両国で盛んに行われていた。特に戦後研究が進んだ「ゲーム理論」を使って、米ソ両国の軍事指導者が核戦争下でパニックに陥らず如何に行動すべきかのプロトロールが研究されていたようだ。実際には起きてみないと分からいないのが正直なところだが、核保有国に関しては、ある程度核戦争のシナリオが事前に準備され、手順(プロトコル)が定められていると考えられる。

限定的エスカレーション

ロシアが警告の意味も込めて1発だけ核兵器を発射した場合、米国を中心とするNATOは、どう反応するだろうか。この場合考えられるのが、同様の被害をロシアに与えるため1発または2発の核兵器をロシア領に発射して様子を見るという戦略だ。もしロシアが報復のために更に核兵器を発射した場合には、同様に報復が行われ、双方の何れか一方が核兵器の発射を止めるまで報復合戦が続く。この場合、NATO側が使う核兵器は、実質的に米軍が保有する戦術核兵器が使われるだろう。ただ相互の核による報復が続くうちにタガが外れて全面核戦争に突入するリスクは常にある。

エスカレーション抑止からエスカレート

もう一つのバージョンとして、「エスカレーション抑止」と呼ばれる方法から、実際の核戦争に拡大してしまう場合も考えられる。エスカレーション抑止とは、核の使用をチラつかせることで、または人の殆ど住んでいない地域や海上などで、警告的に核ミサイルを爆発させることで、敵の攻撃の抑止を図るという戦略。ただ抑止が上手く機能すればハッピーエンドになるかもしれないが、逆に敵の過剰反応を誘発してしまい、最終的には全面核戦争に発展してしまう可能性もある。

敵の核兵器への先制攻撃

核戦争の可能性が高まった段階で、敵の核兵器への先制攻撃が行われる可能性もある。この場合、ロシアのプーチン大統領だけでなく、ロシアの核兵器準備の動きを察知した米国大統領が、核による先制攻撃でロシアが核を使用する前に、ロシアの核兵器を破壊するの誘惑に駆られるかもしれない。またプーチン大統領が核の先制攻撃を行う場合に、一発から数発ではなく、米国の核戦力に対して全面的な先制攻撃を選択するかもしれない。ただ、仮に先制核攻撃で敵の核兵器を完全に殲滅できた場合でも、潜水艦に搭載されたSLBMによる報復を受ける可能性が高いことから、最終的には前面核戦争に移行しよう。

最後は大量報復

想定されるいずれのケースでも、核戦争が途中で止まる可能性は、それ程高くないかもしれない。その場合、最終的な結果は「大量報復合戦」になるだろう。この場合最後は、米ロ双方が潜水艦に搭載したSLBMで、相互に相手の都市部を大規模攻撃を行うことになる。最低でも千発近い強力な水爆が、相手の大都市めがけて発射され、膨大な犠牲者が出ることが予想さる。2019年にアメリカの大学で行われたシミュレーションでは、核攻撃による直接的な被害だけで9000万人以上の犠牲者が出るとの試算が提示されている。この犠牲者の中には、死の灰による被爆や社会の混乱による被害は当然含まれていない。

日本本土が攻撃されるケース

次に仮に限定的と言えども核戦争が勃発した場合で、どんな時に日本が核攻撃を受ける可能性があるのか考えてみたい。

在日米軍基地

日本で一番核攻撃が行われる可能性が高いのは、「在日米軍基地」だろう。全面核戦争だけでなく、限定核戦争でも核による報復が続く間に、ロシアの報復ターゲットとして在日米軍基地が選ばれる可能性はゼロとは言えない。この際使用されるのは、比較的小型の核兵器の可能性が高いが、それでも広島長崎に投下された原爆の10倍程度の威力はあるだろう。周辺地域10キロ程度が破壊されると同時に、死の灰がかなり広範囲に拡散することが考えられる。特に戦闘機部隊が駐留している青森県三沢基地、山口県岩国基地、そして米海軍第七艦隊の母港である横須賀基地が攻撃対象となる可能性が高いだろう。また日本本土から離れているとの理由から沖縄の嘉手納基地が攻撃対象に選ばれる可能性も否定できない。

首都東京

大都市はどうだろう。特に首都機能の集中する東京が、核攻撃されるリスクはあるだろうか。東京の周辺には、米海軍横須賀基地や陸軍のキャンプ座間、そして空軍の横田基地など特に多摩地区から神奈川県にかけて、国道16号線に沿って米軍基地が集中している。仮に限定的とは言え、これらの基地の一つに核攻撃が行われた場合には、東京や横浜、川崎などの大都市も相当な被害は免れないだろう。

もう一つのパターンは、米ロで全面的な核戦争が勃発した場合だ。この場合に日本の首都東京がロシアの戦略核の攻撃対象になっているかは不明だ。もしターゲットになっていたとしたら最低でも広島に投下された原爆の300倍以上の威力のある50メガトンクラスの水爆で攻撃されることになるだろう。この場合、東京の都心部は完全に破壊され、更に関東平野一円に高濃度の放射能で汚染された死の灰が降り注ぐことになる。

極東ロシアの軍事基地

日本が直接核攻撃を免れたとしても、日本が核攻撃の影響を受ける可能性がある場合がある。核による報復合戦でウラジオストクやカムチャッカ半島にあるロシア軍基地が、米国に核攻撃された場合だ。この場合にも、高濃度の放射能に汚染された死の灰が、偏西風に乗って日本海を越え日本上空に流れ込むことが想定される。特にウラジオストクが核攻撃された場合には、偏西風に乗った死の灰が北海道や東北地方を中心に降り注ぐことが想定される。

原発その他重要インフラ

日本への核攻撃が話題になると、攻撃対象としてよく挙げられるのが「原発」だ。しかし、今回のウクライナ戦争では、日本が直接の交戦国になる可能性は(今のところ)少ない。また原発が破壊された場合、核燃料が飛散して広範囲が汚染されることが予想されるが、それ自体が軍事的に意味があるとは思えない。ダムや発電所などの重要インフラも同様だ。(少なくとも)今回は、日本の重要インフラが攻撃対象になる可能性はそれほど高くないと考えている。

続く

今回は、ウクライナ戦争が核戦争に拡大する場合を思いつく限り考察してみた。次回では実際に日本が核攻撃された場合に実際にどのような被害が発生するか考えてみたい。

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