コロナ・パンデミックの中、ここ数年絶好調だった株式市場に暗雲が垂れ込み始めているようだ。4月23日にはコロナ禍の巣ごもり需要で絶好調に思われていたNetflix株が、一日で35%も急落して市場を震撼させた。因みにNetflixは、昨年付けた高値から三分の一に暴落している。またGAFAMなどのハイテク株も軒並み下落基調。日本でも投資家の人気を集めていたNASDAQ株価指数も風前の灯状態となっている。今回は暗雲垂れこめる株式市場にびっくりしている人向けの気休めに読む話。
今回の下落は理由が明確
先に株式市場に参加し始めた人は、今回の急落を見てさぞかしビックリしているかもしれない。しかしながら市場の長い歴史を振り返れば、今回のような急落はよくある話だ。特に今回の下落に関しては、インフレとFRBの利上げが原因と言うことではっきりしている。景気に連動したよくある話だ。2008に発生したリーマンショックのように、得体の知れない複雑なデリバティブ商品が下落の原因ではないだけましだ。
今年の1月に株価が下落した際に以下のような記事を書いた。もし今の株価下落に狼狽えてパニック状態になっているなら一読して心を落ち着けてほしい。
また昨年半ばから流行し始めたレバナスに嵌まっている人も多いだろう。以下の記事を参考。
金利が上がると株価は下がる
最近投資デビューした投資家には、金利と株価の関係をあまり理解していない人も多いかもしれない。基本的に金利が上がり始めると株価は下落する。特にNetflixのようなグロース株に関しては、将来の収益見通しが変わらなくても、金利が僅かに上昇しただけで割引現在価値に影響が出る。今回の下落に関しても、昨年の秋口からFRBなどで利上げの議論が始まっていた。経験のある投資家は既にポジションを縮小しているだろう。今回逃げ遅れた投資家も、いい勉強をしたと考えよう。
いつか来た道また来た道
今回の利上げで上昇が急だったハイテク株は暴落するだろう(と言うかもうしている)。下値の目途だが、S&P500などの主要指数に関しては、最大で30%程度の調整を見込んでいる。ただ今回は未曾有の金融緩和が行われたことからナスダックなどのハイテク株を多く含む指数は、最大で60%程度の下落も覚悟している。最近投資を始めた特に若い投資家は、20年前にあったITバブルの崩壊を経験していないだろう。ITバブルの際には、IPOで上場した株の殆どが紙くずになった。そして指数もザックリいうと80%下落した。今回もZOOMなどの新興株は、既に同じぐらい下落している。
また一旦不況になれば、今回はコロナ対策で未曾有の金融緩和を世界中でしていることから、かなりの調整は避けられないだろう。以前に紹介したが、本来株式市場の年間変動率は20%~25%だ。また株式の長期的に見た年間リターンは、5%~7%だ。この基準に照らせば、今回の株価の下落も良くある話だ。
主要なIT株は紙屑にはならない
ただ主要なIT株に関しては、2000年のITバブルの時の蜃気楼のような業績と比べても売り上げや利益がしっかり出ている。社会のインフラとしてガッチリ組み込まれている事を考えると、ITバブルの時の様に、IPOしたIT株が殆ど紙くずになるという事態は(少なくとも)大手のIT企業に関してはないだろう。
核戦争でも起きない限り株価は戻る
もっと中長期的な株式市場はどうだろう。私は結局は戻ると思っている。核戦争でも起きない限りは、下落が一巡して時期が来れば、指数はまた高値を更新するだろう。いや、仮に核戦争があっても株式会社は存続するかもしれない。戦争に負けて焼け野原になった東京では、終戦の翌年には、日本橋や兜町の道端で株式取引が行われたそうだ。人間の経済活動は予想以上に強い。
不況への準備を
とは言っても不況になる可能性はかなり高い。元々株価は景気の先行指標の一つだ。インフレも激化している。多分かなりの確率で不況は避けられないだろう。地道な株式の積立投資をしているなら継続しても問題ないと考えるが、もしレバレッジを掛けて投資をしているなら一度撤退を検討したほうがいいかもしれない。また、もし手元の現金が心許ないなら、一旦ポジションを縮小して、不況になっても生き残れるようにお金の面から防御態勢を整えた方がいいかもしれない。
また株式市場はいずれ戻ると考えているが、いつ戻るかは市場しか知らない。楽観視は禁物だ。過去には10年以上低迷が続いた時もある。もし相場が下落した場合に生活が困るような状況なら、直ぐにでも改善に着手すべきだ。過度の楽観論は禁物だ。
長期金利の低さが気になる
今回の株価下落で気になる点を挙げるとすると、むしろ長期金利の低さかもしれない。上がったとはいえ米長期金利は3%弱だ。リーマンショックの直前には5%近い利回りだった。それに比べても異常に低い。この金利の低さを理論的に説明しようとすると、米国経済は早々にリセッション入りして、現在の利上げも早晩打ち止めになることを市場は見越しているのかもしれない。また長期金利は長期の経済成長率とほぼ同じになる。そう考えると、現在の低金利が意味しているのは、過去10年のITとグローバル化の黄金時代がいよいよ終焉を迎え、2020年代はインフレと低成長の時代になるのかもしれない。


コメント