2022年に3月に入ってから急激に円安が続いている。3月28日には、一ドル125円まで円が下落した。この記事を書いている3月39日時点では、円安が一服して122円台で推移しているが、相場は不安定で乱高下を繰り返している。今回は、今後も続きそうな円安にセミリタイヤラーとしてどう対処するか、具体的方法を考えてみたい。主なツールはFX(外国為替証拠金取引)だ。
外貨預金をするぐらいならFXを使え!
円安対策と言うと、まず最初に外貨預金を思い浮かべる人が多いかもしれない。しかし、FX取引が利用できる今、あえて外貨預金をするメリットは殆どない。もし外貨預金を考えているならFXを利用すべきだ。
外貨預金は手数料が高い
外貨預金のデメリットとして最初にあるのが「手数料が高い」だ。最近はだいぶ安くなってきているが、普通の銀行で外貨預金をすると、ドル円の場合でも、市場のレートから「1円」の手数料を取られる。例えば市場のドル円レートが120円の場合、実際に買えドルの値段は121円になる。1万ドルを120万円で買えると思っていたら、実際には「121万円必要」と聞いて驚いた人も居るかもしれない。またあまり意識しないかもしれないが、外貨の「売値と買値の差額」が銀行での外貨預金では非常に大きい場合が多い。10銭から20銭程度市場のレートより悪いレートを提示してくる銀行も多い。
外貨預金は金利が低い
せっかくドルを買って外貨預金をしてみたものの、金利が低いのに驚く人も多いかもしれない。この記事を書いている2022年3月にはアメリカの中央銀行のFRBが利上0.25%の利上げを行った。ところが、主要な銀行では外貨預金の金利を引上げていない。また、外貨預金の金利は市場のドルの金利はかなり低い。金利面でのメリットも殆どない。
そもそもFXてて危なくない?
FX(外国為替証拠金取引)という言葉は、一応聞いたことがある人が多いだろう。ただ、その詳しい内容が分かる人は、株式などの投資経験がある人などに限られるかもしれない。リスクが伴う取引のため、はなから毛嫌いしている人も多いかもしれない。ところが実はこのFXがインフレや円安対策の切り札になる。以下にFXの賢い利用方法を紹介したい。
そもそもFXとは?
FXとは正式には「外国為替証拠金取引」のことだ。日々動いているドル円相場に投資・投機することが出来る。例えば米ドルが上昇すると考えているならば、円を売ってドルを買うことが出来る。ドルを買って、そのドルが上昇(円安)すれば「利益」。反対にドルが下落(円高)になれば、「損失」になる。仕組みは実に簡単だ。
FXは外貨預金と比べてメリットが多い
一見、危ないように見えるFX取引だが、銀行で扱っている外貨預金に比べるとメリットが多い。まずは手数料の安さだ。規制で保護されている銀行と違ってFXは競争が激しい。そのためFXの手数料は外貨預金に比べて格安になっている。ほとんどのFX業者では「手数料は無料」だ。また売値と買値の差額も1銭以下となっている。つまりTVやネットで見れる為替レートそのままで取引が出来る。この時点で外貨預金と比べて1%近く有利になっている。
また金利面でも外貨預金に比べて物凄く有利になっている。FXの場合には、金利に相当するのが「スワップ金利」と呼ばれるものだ。このスワップ金利も市場での金利とほぼ同じものが提示されている。この時点で、外貨預金をする理由は殆どない。
レバレッジで大きな取引も可能
このFX取引では、所謂「レバレッジ」をかけることが出来る。日本の法律(金融商品取引法)では、手持ちの現金(証拠金)の25倍まで取引可能だ。例えば100万円を証拠金を入金すれば、2500万円相当の外貨を取引できる。もし思惑通りに相場が動いた場合には、大きな利益を期待できる。
分かり易いように一ドル100円で計算してみよう。例えば、100万円の証拠金を入れてレバレッジをいっぱいに利かせると25万ドルまでのドル(2500万円相当)を買うことが出来る。もしドルが1円上昇すると、何と25万円の利益が出ることになる。今回の急激な円安では、3週間ほどの間に実に10円も円安になっている。もし25万ドル相当のドルを買っていれば、短期間に250万円の利益になる。
もちろん旨い話には裏がある。逆に円高になった場合にはどうだろう。上の例の場合では1円の円高で25万円の損失になる。もし10円の円高になれば250万円の損失が発生する。実際には最初に入金した証拠金(保証金)の額が100万円なので、評価損失が100万円を越えた段階で強制的にロスカットされる。もし100万円の証拠金で目一杯のレバレッジを効かせて25万ドルを買っていた場合には、4円の円高が進んだ段階で損失が100万円になるので、強制的にロスカット(損失の確定)となり元の100万円は消えて無くなる。
レバレッジを低めにするのが肝
この一見すると極めて危険に見えるFX取引だが、賢く利用すると、今後予想される激しいインフレや円安への対策に利用できる。肝は「レバレッジを低くする」ことだ。
FX取引と言うとレバレッジを目一杯効かせての取引を連想する人が多いかもしれない。ただ別にレバレッジを目一杯効かせる義務があるわけではない。例えば「レバレッジ1倍」でも、まったく問題ない。上の例で言うなら100万円の証拠金で1万ドルのドルを買うのだ。25万ドルまで買えるのに1万ドルしか買わないのは、なんだかもったいない気もするかもしれないが、あえて一万ドルしか買わないことで、円安・インフレリスクをヘッジに利用することが出来る。
具体的な利用方法
FXの具体的な利用方法としては、「資産全体へのヘッジ」を行うことだ。例えばもし円の預金で1000万円を持っていたとしよう。もし今後もインフレと円安が進行した場合、手持ちの円預金の価値は知らいないうちに減っていくことになる。今回の急激な円安では、僅か一ヵ月で115円から125円まで円安が進行した。つまりドルベースで約8%も円預金の価値が減ったことになる。金額にすると80万円近い。もし1000万円の円預金に対して半分の500万円程に相当するドルをFXで買っておけば、この「円預金の目減り」を半分に抑えることが出来る。もし何もヘッジしていなければ、1000万円の預金の価値は、実質で80万円程度減少していることになる。1000万円は1000万円のままなので、損をしているのに気づいていないかも知れないが、実はドルベースでは、「お金が減っている」のだ。もしこの時、例えば4万ドル相当のドルをFXで買っておけば40万円相当の利益が出る。差引で損失は4%程度に抑えることが出来る。もちろん市場が逆に振れて40万円の損が出る可能性もあるが、その場合には1000万円の円預金の価値が上昇したと考える。
退職金や年金のヘッジも
もし今後インフレと円安が急激に進行した場合に、最も影響が大きいのが「退職金」や「年金」だ。公的年金は一応インフレにある程度は連動することになっているが、今後の年金の減少は避けられそうもない。退職金や生保などの確定年金の場合には、インフレになると「実質手取り額が減少」する。この場合にもFXを利用してある程度はヘッジすることが可能だ。レバレッジを低めにして、ある程度のドルなどの外貨を買い持ちにし続けるのだ。レバレッジが1倍なら例えば100円で買ったドルが、ほぼゼロ円になるまで強制的な損切りにはならない。レバレッジが2倍なら一ドル50円までOKだ。今までのドル円相場で一番の円高は75円台なので、3倍程度のレバレッジを掛けて、退職金の受け取り予想額の一部に相当するドルを買い持ちすることで、「退職金の目減りをカバーする」ことが可能だ。
日本は普通の国になる
1970年代に円ドル相場が360円の固定相場から自由化されて50年が経過した。その間、ドル円の為替相場は基本的に「円高」だった、一時は一ドル75円台まで円高が進行したこともある。そのドル円相場が、今では120円台だ。もちろん一ドル360円に比べるとまだ円安水準だが、今後も少子高齢化の影響で更に円安に振れる可能性が高い。輸入物価の上昇はインフレに繋がり、頼みの退職金や年金の価値が目減りする可能性がある。要は、一時はアメリカに次いで世界第二位の経済大国と呼ばれた日本も普通の国になる可能性が高いと言うことだ。国に頼り切っていては、将来の難局を乗り切れないかもしれない。自己防衛の手段を考えるべきだ。
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