2022年2月に始まったウクライナ戦争も早いもので3週間目に突入した。当初はロシア軍が数日でウクライナの首都キエフを陥落させると思われていた。ところがウクライナ軍が予想外の善戦をしているようだ。逆にロシア軍の苦境が伝えられている。いったい何が起こっているのだろうか。その背景の一つとして所謂「軍事革命」の更なる深化の可能性がある。そして、この軍事革命の深化と近代的常備軍の敗北が、最終的に近代的な民主主義国家の衰退に繋がるかもしれない。
ウクライナ軍が予想外の善戦
2022年2月に始まったウクライナ戦争も早いもので3週間目に突入した。当初はロシア軍が数日でウクライナの首都キエフを陥落させると思われていた。ところがウクライナ軍が予想外の善戦をしているようだ。逆にロシア軍の苦境が伝えられている。いったい何が起こっているのだろうか。その背景の一つとして所謂「軍事革命」が進行している可能性が高い。そしてこの軍事革命が最終的に現在の国民国家と民主主義の終焉を導くかもしれない。
旧態依然なロシア軍
今回のウクライナ戦争で、まず驚かされたのがロシア軍の旧態依然さだ。開戦前は大量の戦車や装甲車で武装した強力な大軍を擁していると思われていたロシア軍だが、実際の戦闘になると現代戦に全く適応できていない様子が明らかとなってきている。第二次世界大戦型の大量の戦車で進撃するスタイルで、ウクライナ軍の待ち伏せ攻撃を受けて大きな損害を出しているようだ。現代の戦争では、人工衛星の情報や、センサーを搭載した航空機やヘリ、ドローンなどで敵の位置をピンポイントで特定して攻撃する方式が主流となってきている。ところがロシア軍の戦車が道路上を漫然と前進している映像が多く見られる。
ハイテクを使いこなすウクライナ
一方のウクライナ軍は、西側から供与されたハイテク兵器をかなり上手に使いこなしているようだ。トルコ製の大型ドローンだけでなく、前線の兵士が小型のドローンを使いこなしている様子が頻繁にSNSなどに登場している。このよなドローンで集めた情報を活用して、ウクライナ軍は西側から提供された高性能の対戦車ミサイルなどを利用してロシア軍に対して効果的に待ち伏せ攻撃などを実施しているようだ。
アメリアが軍事情報を提供
ウクライナ軍が善戦している要因として見落とせないのがアメリカによる大量の軍事情報の提供だ。従来からの人工衛星による偵察に加えて、アメリカ軍の早期警戒機や地上目標を発見できる偵察機が、ウクライナとポーランド国境上空を24時間体制で飛行して、ウクライナ軍に情報提供をしているようだ。空中早期警戒機からの情報を基にウクライナ軍はロシア空軍やミサイルの攻撃に、主に地上に配備された対空ミサイルを活用してい対抗しているようだ。また未確認ながら開口合成レーダーという特殊な地上探査レーダーを用いてロシア軍の地上軍の動きを偵察し、その情報をウクライナ軍に伝えている可能性もある。このようなアメリカによる情報を基にウクライナ軍は、少数ながらもハイテク兵器で武装した歩兵部隊を効果的に配置してロシア軍に反撃を行ている模様。
動きの鈍いロシア空軍
これも多くの識者や専門家が指摘しているが、ロシア空軍の動きが非常に低調な点も今回の戦争の特徴の一つに挙げられる。本来なら大規模な航空攻撃により制空権を獲得。その後は、大規模空爆で敵の地上軍を殲滅してから地上部隊を入れるのが本来の戦争のやりかただ。ところが映像やその他の情報を総合する限り、ロシア空軍が大規模に活動している様子はない。来るべきNATOとの戦闘に備えて兵力を温存しているという説もあるようだが、もしかしたらロシア軍には、アメリカ軍の様に空陸一体で敵を近接航空攻撃する能力自体がないのかもしれない。
現代の傭兵部隊「民間軍事会社」の登場
2003年のイラク戦争以降で目立ったことの一つに「民間軍事会社(PMC)」の大規模な利用が挙げられる。イラク戦争では、通常は正規軍が行っていた多くの分野に民間軍事会社が利用された。要人警護などにはブラックウォーターなどの民間軍事会社が多数関与した。また兵士への水や食料の供給までハリバートン社などの民間企業が担うようになった。
今回のウクライナ戦争でもイラク戦争で,民間人虐殺事件を起こして非難を浴びた「ブラックウォーター」が改名した「アカデミー」という民間軍事会社の要員が、キエフ近郊の空港を巡る戦いで、ロシアの特殊部隊を殲滅したとの報道がされている。またジャベリンなどのハイテク対戦車兵器の指導なども、この民間軍事会社が担っている可能性も高い。今後も戦争が長引くに従って、戦争の民営化が更に進むことになるかもしれない。
またロシア側も既にチェチェン人のゲリラ部隊を投入しており、更にシリア人の傭兵部隊を1万人以上と投入する可能性も報道されている。今後はウクライナ戦争自体が、実質的に民間軍事会社同士の戦いになるかもしれない。
大規模な正規軍が役立たずになった可能性
以上のように今回のウクライナ戦争の軍事面での特徴の一つとして「従来型の大規模な正規軍が現代の戦争で役立たずになりつつある」のではないか、という可能性が出て生きている。そして、この従来型軍隊のオワコン化が、長期的に見て現在の国家形態を根本的に変化させる可能性があると考えている。
次の投降では、現代の軍隊の無効化がもたらす長期的な影響を論じてみたい。
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