2022年2月24日に始まったロシアによるウクライナ侵攻作戦。当初はロシア軍の圧勝かと思われていたが、ウクライナ軍が意外に善戦している気配が出てきた。イギリスの国防相がテレビに出演して、ロシア軍は初日の作戦は失敗だったと発言しています。
当初ロシア軍は、キエフ近郊の空港を空挺部隊で攻撃するなど、奇襲作戦でキエフに侵入し、ウクライナ政府を奪取する作戦を考えていた節があります。しかし、空港の迅速な奪取に失敗し、当初の奇襲攻撃は失敗したようです。
キエフ上空にロシア軍機が見えない
ロシア軍が、意外にも苦戦していると思われることの一つが、ウクライナの首都キエフ上空に「ロシア軍機」が全く現れていないことです。これは、1991年の湾岸戦争の時と比較すると良く分かります。湾岸戦争では、初日から米軍機がバクダット上空に飛来し空爆を実施していました。今のところキエフ攻撃には、短距離ミサイルと巡航ミサイルしか使われていないようです。無駄な損害を避けるためとも考えられますが、「ロシア軍が制空権を掌握していない可能性」もあります。
近接航空支援が使えない可能性
ロシア軍の機械化歩兵部隊や戦車部隊がウクライナ軍の抵抗を排除しながら迅速に前進するためには、空から防衛軍を爆撃して排除する所謂「近接航空支援(CAS)」が不可欠です。しかしながら、ロシア側からは、この近接航空支援を行っている映像が殆ど出てきません。アメリカ軍であれば、抵抗する敵拠点を特定すると、AH64アパッチやA10、F16などを使った近接航空支援による空爆で排除しながら地上部隊が進撃していきます。そのような映像が全く出てきていないのです。
スティンガーが威力を発揮か
ロシア軍が有効な航空支援を行えていない可能性がある点として、アメリカがウクライナに供与した「スティンガー」の存在があります。スティンガーは、40年前のアフガン紛争でも使われた「肩打ち式」の小型対空ミサイルです。1980年代のソ連によるアフガン侵攻時には、アメリカがイスラムゲリラ勢力に、このスティンガーを供与。ソ連軍のヘリや攻撃機による効果的な空爆を阻止しました。今回もアメリカは、ウクライナ軍に、このスティンガー・ミサイルを供与しています。
空爆が使えないと正面突破
効果的な空爆が使えないとなると、あとは戦車などの地上部隊による正面突破作戦しかなくなります。この場合、地上から砲撃を行い戦車部隊による突撃となりますが、攻守両軍に膨大な犠牲が出ることが予想されます。また大規模な砲撃を行えば、民間人に甚大な犠牲者が出ることも予想されます。グーグルマップなどを見れば分かりますが、ウクライナの都市の周辺には、国道に沿ってソ連時代に建設された大規模な「団地群」が見えます。このコンクリートで出来た団地群にウクライナ軍が立てこもり、進撃してくるロシア軍をアメリカから供与された「ジャベリン」などの携帯対戦車ミサイルや、ソ連以来の伝統のRPGロケットで迎え撃てば、双方に膨大な犠牲者が出ることになるかもしれません。
ロシア軍は1990年代に行われたチェチェン紛争において、チェチェン共和国の首都グロズヌイの戦闘で、ゲリラ部隊との戦闘になり、膨大な犠牲者を出した過去があります。もともと権威主義的で、伝統的に指揮系統に問題のあるロシア軍は、複雑化する近代的な戦闘に対応できていないことを露呈した過去があります。
今回、ロシア軍は、アメリカ式の精密誘導兵器を使用した空陸一体の「エラーランドバトル」方式で戦闘を進めている様に見えましたが、結局最後はソ連伝統の「膨大な犠牲をものともしない」正面突破作戦になりつつあるのかも知れません。
プーチンの投降勧告も苦戦の表れか
侵攻から2日たった2月25日になり、ロシアのプーチン大統領からウクライナ軍、ウクライナ兵に対して投降勧告と、ゼレンスキー大統領への反乱を促す声明の発表が行われました。この声明も穿った見方をすれば、ロシア軍がウクライナ軍の排除に相当苦戦している表れかもしれません。
米軍筋からもロシアの苦戦を伝える話が出てきているようです。
停戦交渉の話題も出てきているようです。これもロシア軍苦戦の表れかもしれません。
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