2022年に入ってから株価が下落しています。1月27日のFOMCでは、3月からの利上げと資産圧縮(QT)の実施が強く示唆されたこともあり、市場の乱高下が続いています。そんな中、TwitterなどのSNSでは、「株安は岸田政権のせい」という意見を散見します。本当の岸田政権のせいで今の株安が生じているのでしょうか?
岸田首相は何もしていない
そもそも発足から数か月しか経ってない現在の岸田政権は、経済面では「何もしていません」。自民党総裁選の時には「金融所得課税」を一旦掲げましたが、評判が悪いと見るや、すぐに撤回しました。所謂「新しい資本主義」に関しても具体的な内容は全く出てきていません。やったことと言えば、経団連に賃上げを要請したぐらいです。アベノミクスの柱であった日銀のQQEに関しても何も語っていません。
肝心のコロナ対策に関しても、オミクロン株が登場した当初は、空港検疫の強化など一見力強い政策を打つように見えましたが、いざ第六波が始まると、今までの政権と同じようにグダグダ状態になりつつあります。
今の株安は、インフレのせい
まず株安の原因ですが、当然ですが「岸田首相のせい」ではありません。2022年に入ってからの株安は、「インフレのせい」です。既にご存じの通りワクチン接種が本格化した2021年春頃から世界的にインフレ率が急上昇していました。物価が上がれば金融当局は引き締めに動きます。ましてや、1970年代以来の7%台のインフレ率となれば、当然利上げが視野に入ってきます。
インフレは、コロナによる物不足のせい
では何故こんなに急激にインフレが昂進しているかと言うと、所謂「サプライチェーン」の問題が深刻化しているからです。コロナ禍が始まった2020年の半ばには、早くもアメリカ最大の輸入港であるロサンジェルス港でコンテナー船の滞留が発生していました。これは、コロナによるロックダウンで、トレーラートラックのドライバーが不足し>港からのコンテナー出荷が停滞>港がコンテナーで滞留>船からコンテナーを下せない>船がLAの港の外で滞留、と言うような連鎖反応が発生していました。
さらに事態を深刻化させたのが、世界的なコンテナー不足です。こちらもドライバー不足で、アメリカ国内で荷下ろしをしたコンテナーが、港に戻ってこなくなったのです。そうなると輸出側の中国の港にコンテナーが戻らなくなることから、今度は中国側でコンテナー不足により輸出が滞ることになり、アメリカ国内で更に物不足が深刻化するという「連鎖反応(チェーンリアクション)」が発生してとうとうインフレが昂進する事態にまで至りました。
これらの「サプライチェーン問題」によるインフレ自体は、2020年の後半から顕在化しておりあ、別に今に始まったわけではありません。ましてや岸田首相とは何の関係もありません。
オミクロンで更に追い打ち
今までのコロナ禍では、主に中国からの輸入品の品不足がメインでしたが、この状態で火に油を注ぐ結果になったのが「オミクロン株」の流行です。オミクロン株の流行が発生した2021年暮れから、アメリカ国内で食料品がスーパーなどの店頭から消える現象が起き始めました。これは、タイソンフーズなどの食肉加工大手の工場で、オミクロン株の集団感染が発生。大量の人員が濃厚接触者になったことから、食肉加工が滞ったのげ原因の様です。
物不足が景気後退に至る可能性
問題は、このインフレが「一時的なものかどうか?」です。もし恒常的にインフレ率の上昇が続くようであれば、「景気後退」の可能性が出てきます。需要が多くて発生するインフレであれば、生産が増加するに伴い雇用と賃金が増加して、所謂「良いインフレ」になるでしょう。しかし今回は、物不足を主因とする「悪いインフレ」であることから、物価上昇が消費者の可処分所得の減少をもたらし、それがひいては他の消費も押し下げて「不況がやって来る」可能性があります。
そもそも金融緩和によるバブル相場
そもそもコロナ禍で経済が大打撃を受けている中での今回の資産価格の急上昇は、未曾有の「世界的金融緩和」によるバブル相場だったのは当初から自明のことでした。それが、とうとう崩れ始めたというだけの話です。岸田首相とは何も関係もありません。
相場は天気のようなもの
最近になって投資を始めたビギナーには、初めての本格的な下落相場で、「犯人捜し」をしたくなる気持ちも分からないではないですが、所詮相場は「天気のようなもの」です。晴れの日もあれば雨の日もあります。季節が移り替わるように「暑い夏の日」もありますが、いずれ「寒風の吹く冬」がやってきます。いくら総理大臣と言えども「四季の移り変わり」を止めることは出来ません。投資家に出来ることと言えば、寒くなったら、凍死をしないように「冬ごもりの準備をする」ことだけです。
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