スキップしてメイン コンテンツに移動

いまさら始めるビットコイン(その1)・・・なぜ急騰し始めたのか?

ビットコインに代表される暗号資産(旧称「仮想通貨」)の急上昇が止まらない。あれよあれよと言う間に2018年初めに付けた高値2万ドル台を突破した。そしてこの投稿を書いているとき(2月22日)には、何と「600万円」台で取引されている。また暗号資産全体の時価総額(価格×発行枚数)も1兆ドル(約105兆円)の大台に乗ってしまった。これは世界中にある金の時価総額である約1200兆円の10%の規模。もはや無視できない存在になっている。

元金融機関の職員として、また(一応)少額のビットコイン・ホルダーとして今回のビットコイン急騰の意味を考えてみたい。

なぜこんなに急上昇しているのか

Paypalの投資で高値を抜く

既にニュースなどで報道されているが、上昇のきっかけになったのがアメリカの決済会社であるPayPalという会社がビットコインを大量購入し、また自社のPayPalサービスでも近じかビットコインやイーサリアムなどの暗号資産での支払いを始めると発表したこと。この発表を受けて従来の高値だった2万ドル台をあっさり抜いた。ちなみにPayPalとは、インターネット上でメールアドレスとクレジットカード情報などを登録すれば、ネットショップなどに自分のクレジットカード情報を知らせなくても支払いができるというサービス。日本では、今一つなじみが薄いが、世界中のネットショップで使われている。

テスラの購入で勢いが付く

その後、年が明けてから驚きのニュースが飛び込んできた。それが、あの電気自動車で有名なテスラモーターが大量のビットコイン(総額1500億円)を購入したというもの。テスラモーターの株価自体が、このコロナバブルの中で急騰していたことや、創業者のイーロンマスクが起業家として世界中から拝められていることもあり、ビットコインなどの暗号資産の急騰に拍車がついた。とうとう6万ドル手前(600万円越え)まで急騰することに。

機関投資家の資金が大量流入化

さらにビットコインを後押ししているのが、機関投資家の資金の大量流入の噂。いくつかのヘッジファンドや有力な投資銀行(JPモルガンなど)に加えて、世界最大規模の資産運用会社であるブラックロックがビットコインへの投資を検討しているとの話が伝わって、大手の機関投資家がビットコイン市場に大量参入するのではないかという観測が価格上昇に拍車をかける結果となっている。

なぜ機関投資家は暗号資産に興味を持ち始めたか?

テスラのイーロンマスクが何を考えているかは、本人しかあずかり知らぬところだが、大手機関投資家が暗号資産に興味を持ち始めたのには、それなりに理解できるので、この点を説明してみたい。

グローバル化で分散投資が効かなくなっている

あまり一般の人には知られていないが、多くの機関投資は、所謂「分散投資」を行っている。「一つの籠に卵を全部入れるな」という格言で有名なあれ。一番わかりやすい例はとしては、日本の公的年金を運用している「GPIF」が挙げられる。年金基金に代表される機関投資家は、基本的に「株式」「債券」「商品」などに分散投資を行ってリスク分散を図っている。以前であれば、株式なら米国株、欧州株、日本株に分散投資しておけば、お互いに上昇と下落が相殺し合い「安定した長期運用」が実現できた。これは、以前なら各国の経済が分断されていて、別々の動きをしていたから。

ところがグローバル化が急激に進んだ結果、主要な株式市場の動きが、連動して「ほぼ同じ動き」をするようになってしまった。これでは「分散効果」が効かなくなって、以前と同じ投資をしていてもリスクが高くなってしまう。

分散を維持するために「色々な投資」に手を出し始める

この「グローバル化による分散効果の減少」を補う手段として、20年ぐらい前から、大手機関投資家は、それで投資対象にしていなかった様々な資産(オルタナティブ投資という)に手を出すようになってきていた。代表例としては「ヘッジファンド」や「不動産」など。2008年にリーマンショックが起きて「証券化された不動産」が大暴落したが、この背景にも21世紀に入ってから、機関投資家が不動産などの「株式や債券以外の投資商品」を血眼になって探したことが背景にある。大量に投資資金が流入したことから、リーマンなどの投資銀行が、需要に応えるため(そして、もちろん手数料による金儲けのため)に大量の不動産を証券化したことがバブルの遠因になっている。

ビットコインは分散投資にうってつけ

ここで登場したのが、ビットコインに代表される「暗号資産」市場。当初は「すぐに消えてなくなる際物」とみられていたが、その登場から10年を超え、意外にしぶとく生き残っている。さらに追い打ちになったのが、今回の「コロナショック」。2020年の3月には世界中の資産が一斉に大暴落した。アメリカも日本も欧州も、そして以前は分散投資のスターだった中国をはじめとする「新興国株式」も同じように暴落してしまった。その後持ち直したから良かったが、「分散」が効かなくなっているのは同じ。そこで多くの機関投資家がビットコインに目を付け始めた。

値動きに「全く脈絡がないこと」がビットコインの強み

暗号資産というと、いきなり暴騰したかと思うと翌日には大暴落と、「値動きに全く脈絡がない」のが一番の特徴。経済指標や政府の景気対策など、ある程度「実体経済」に即して動く(と考えられている)伝統的な投資商品である「株式や債券」と比べると「訳が分からない」と一般の投資家からは敬遠されがち。ところが大口の資金を運用する「機関投資家」からすると、この「訳の分からない動き」こそが「最大の価値」になる。ここに来て大手機関投資家がビットコインに興味を示し始めた最大の理由は、ビットコインなどの暗号資産を他の「伝統的資産」に混ぜることで、グローバル化で失われてしまった「分散効果」を取り戻そうとしていると考えられる。

通常はポートフォリオの数%を投資

もちろんだからと言って機関投資家が資金の大半をビットコインに投資することはない。投資の主役は、あくまで伝統的な「株」や「債券」。それ以外の「代替的投資商品(金や原油などの商品や、不動産)」などには、通常資金の2,3%程度から最大でも10%程度が投資される。また、その代替的投資商品の中でも「分散」が行われる。ただこの程度でも大手機関投資家の資金は膨大なため、「今まで見たこともない大量の資金」が暗号資産市場に流れ込む可能性がある。

ビットコインが体制に取り込まれるという皮肉

今までビットコインなどの暗号資産は、「体制からの自由」「権力の分散」「個人情報の保護」など、どちらかと言うと「アナーキー」な「反体制派」の象徴と思われてきた。自分のことを「中流」を考え「社会の体制主流派」と考える一般投資家にはなかなか手が出しずらい代物だった。だがここに来て、まさに「体制と権力の象徴」である「機関投資家」が乗り出してきたとすると、皮肉なことに、ビットコインが「体制の一部」に取り込まれることになる。

サトシナカモトは、泣いているかもしれない

ビットコインを発明した謎の人物「サトシナカモト」や初期の開発者たちにっとっては、これほどの「皮肉」は無いのかもしれない。自分たちの開発した反体制的な「分散されたマネー」が、結局は「体制派のエリートエスタブリッシュメント」たちに支配される結果になるかもしれないのだから。しかし、私のような「しがない一般投資家」にとっては、これは「朗報」。一旦「権力側」の力が入り始めると言うことは、ビットコインなどの価値を「意地でも維持しよう」とするだろうから。それは、リーマンショックの時の、あの「なりふり構わぬ政府の介入」を見れば明らか。これは昨日まで「市場の力」を標榜して下々を見下していた金融業界のエリート達が、手のひら返しで「政府の救済」を求めたことでも明らか。

まとめ

そもそもビットコインなどの暗号資産は、株式などと違って「自ら付加価値を生み出すこと」はない。株式は、そのバックに「実際に生産活動を行っている企業」があり、その企業は「毎日、製品やサービスを生み出して付加価値(利益)を生んでいる」。つまり株式は、持っているだけで「利益」が出る基盤がある。ところがブロックチェーンなどの暗号資産自体には、「何の基盤もない」。ひところ標榜されていた「海外との低コストの決済」も、実際は取引速度の低さや、そもそもビットコインの価格上昇による「手数料」の高騰から実現性がないと考えられている。

ただ「権力者」や「エリート」の金が入り始めると言うことは、「体制の一部」になると言うこと。つまり「体制の一部」という事実が、その「価値」を担保する強力な力となる。

と言うことで、ビットコインは意外に「しぶとく生き残る」可能性がある。際物扱いせずに「極少額でもとりあえず買ってみる」のがいいかもしれない。

コメント

このブログの人気の投稿

【台湾有事に本気で備える】・・・その(2)台湾有事の現実的なシナリオ

ウクライナ戦争の勃発以来、軍事力を使った国境や領土の変更の現実性が改めて認識され、日本でも台湾有事の可能性が話題に上ることが多くなっている。 情勢の緊迫化を受けて日本政府も防衛費の倍増方針を表明した。 台湾有事の可能性が高まってきているのは間違いないようだ。 そこで今回は将来発生するかもしれない台湾有事で、実際に何が起きるか現実的なシナリオを紹介してみたい。 予想されている軍事的なシナリオ ハイブリッド戦争 まず最初に起きることが予想されているのが、 大規模サイバー戦争を含む、所謂「ハイブリッド戦争」 だ。電力や通信、交通などの各種重要インフラに対して大規模なサイバー攻撃が行われる。このサイバー攻撃には、金融機関へのハッキングなども当然含まれる。 また各種フェイクニュースをSNSなどにバラまくことで、政治的な混乱を狙った攻撃も実施されるだろう。 スマホなどが一時的にでも利用できなくなり、○○ペイなどのキャッシュレス決済が止まっただけで、経済には甚大な損害が出るだろう。 更に台湾と世界を結ぶ海底光ファイバーケーブルが遮断されることも想定されている。そうなると台湾と世界の通信は衛星通信のみになり大幅に制限されるだろう。 台湾海上封鎖 次の段階で予想されているのが、台湾の海上封鎖だ。日本と同じ島国の台湾は、海外からの輸入に依存している。中国が台湾周辺の海上封鎖を実施し、船舶や航空機の運航を妨害しただけで、台湾は、食料や原油などの物資不足に陥り大混乱になるだろう。 同時に中国と台湾の間の台湾海峡も完全封鎖されるだろう。民間船舶や航空機の立ち入りは完全に止められるか、中国による臨検が行われるようになるだろう。 ミサイル攻撃 次に予想されるのが大規模なミサイル攻撃だ。 台湾のレーダーなどの防空システムや発電所などのインフラに大規模なミサイル攻撃 が実施される可能性が高い。台湾側も防空体制は取っているが、数百発のミサイルによる同時攻撃が行われた場合には、既存の防空システムだけでは防ぎきれないだろう。 この攻撃の際には、従来のミサイルだけでなく、 大量のドローンを使った所謂「飽和攻撃」や「スウォーム攻撃」 が行われる可能性も高い。今のところ、この大量のドローンを使った攻撃を効果的に防ぐ方法は開発されていない。相当な損害が出て一般市民の生活が困難になるだろう。 直接上陸作戦 台湾の防...

最強クリスマス寒波は、暖房なしで、これで乗り切る・・・車の立ち往生対策にも

FIRE・セミリタイア民はどうしても家でパソコンを使って過ごすことが多くなる。また、最近はだいぶ減ったかもしれないが、リモートワークの人も多いだろう。 そうなると厄介なのが冬の寒さ。パソコンに向かっていると、足や背中が冷えてくる。特に今年はインフレで電気代やガス代が、爆上がり中。 ということで、今回はFIRE・セミリタイア民のみならず、リモートワーク民向けに、冬の省エネ防寒対策を紹介してみたい。 私は暖房なしで過ごしてます 今年も大分寒くなって来た。 そんな寒い中、私はここ数年、日中「暖房なし」で過ごしている。その時使うのが以下の三種の神器だ。 動ける寝袋で暖房要らず 私は節電も兼ねて、着ぐるみ型寝袋を愛用している。以下のようなタイプのものだ。これを着ていると暖房なし、部屋の温度が10℃以下でも温かい。ほぼ暖房なしで過ごしている。 今回のクリスマス寒波では、新潟などで車の立ち往生が頻発しているようだ。エンジンを付けっぱなしにして、一酸化炭素中毒なども起きている様子。そんな時、この着ぐるみ型の寝袋があれば、エンジンを切っても何とか乗り切れるだろう。 【立ち往生したときには】 県内では断続的に雪が降り、路面状況が悪くなっています。 立ち往生したときは 車のマフラー付近をこまめに除雪。 できれば防寒具を着てエンジンもOFFに。 身動きがとれない場合は「道路緊急ダイヤル」#9910 に連絡。 #nhk_video_toyama https://t.co/n7jRGpN6Ez pic.twitter.com/WdVAEl9il2 — NHKとやま (@nhk_toyama) December 23, 2022 基本は足冷え対策 デスクワークの冷え対策の基本は、足を温めることにつきる。安いホットウォーマーで十分温かくなる。逆に頭を温めると眠くなる。 家事の際には歩けるタイプ 家事などで歩き回ることが多い場合には、歩ける靴タイプがお勧め。私も愛用している 背中が冷える場合 人によっては背中やお腹が冷える人も居るかも知れない。そんな時は、バイクのツーリング用に販売されている電熱ベストがお勧め。最近の製品はモバイルバッテリーを接続して使うタイプが中心。着ぐるみ型の寝袋と併用すると、低い温度設定でも十分温かい。 室内テントも 更に室内にテントを張ってしまうとういのも有効だ...

2022年相場の回顧・・・意外に常識の範囲だった

2022年も年末が迫って来た。ということで、月並みながら今年の相場の回顧をしてみたい。 結論から先に言うと 「常識の範囲内」 と言うことになる。 FRBの利上げで株価下落 今年の相場の流れを決めたのは言わずもなく「FRBの利上げ」だろう。既に2021年の半ばから 、アメリカでは強い物価上昇が始まっていた 。そして、そして年明けに勃発したロシアによるウクライナ侵攻で、世界的な物価上昇が決定的となった。 40年ぶりの10%近い物価上昇を受けて、3月からfRBが、 事前の予告通り「連続利上げ」に踏み切った 。 あとはご存じの通りで、それまでコロナ禍を物ともせず「爆上がり」していた米株を中心に、株式市場が総崩れの展開となった。また、通常は株価と逆相関になると言われていた債券も大暴落。ほとんど全てのアセットクラスが下落(暴落)する展開となった。 GAFA大暴落でレバナス爆死 FRBの利上げに伴い、これも教科書通りに、 ハイパーグロスのGAFA株が暴落 した。これも「極めて教科書通り」の展開だった。 金利が上がれば、株価の割引現在価値は大幅に下がる。 特に将来の成長期待で買われているNasdaq株は当然のことながら大きく下落する。まさに 投資の教科書の1ページ目に書かれている内容だ 。 これに伴いコロナバブル以来、SNSなどで持て囃されていた「レバナス」などのレバレッジETFは、軒並み爆死することになった。またカリスマファンドマネージャーに率いられ、 テスラ株への収集投資で知られるアークインベストメントなどのファンドも軒並み暴落した。 カリスマは唯の バブルのあだ花のピエロ であることが判明した。これも過去のバブル相場では、良くある話だ。 日銀指値オペで超円安相場 このFRBの連続利上げにも拘わらず、我が日本銀行は黒田総裁の指揮の元、 異例の「連続指値オペ」を実施し、超円安が確定的となった。 年初115円台だったドル円相場は、みるみる円安方向に進み、一時は、30年ぶりの150円越えとなった。 その後は、秋以降にアメリカのインフレ鈍化の兆しが出てきたことから、FRBの金融引締め打ち止め観測が出始め、ドル円相場も10円以上急落する展開となった。 暗号資産のFTXが破綻 年後半で話題になったことの一つに、暗号資産取引所のFTXが破綻したことがある。このFTX、暗号資産業界では後発なが...