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十年後と言う本を30年後に読んでみる・・・その2「外れた予想」

コロナ巣ごもりの一環として、本棚の「断捨離」をしていたら懐かしい本が出てきた。カッパブックスのその名も「十年後」。1983年発行というから40年近く前に出版されたこの本。内容は、当時流行した未来予測の本だ。改めてこの本をセミリタイアの暇に任せて読んでみた。

今回は、その第2回目。残念ながら「外れた予想」編。

当たった予言と外れた予想

この本は、昭和58年(1983年)出版というから、かれこれ40年近く前に出版された本だ。当時は、第二次オイルショック(1972年)やレーガン政権の誕生(1981年)による冷戦の激化、日米経済摩擦の激化など、社会全体が未来に対して危機感を持っていた時期だ。当時は同じような未来予測の本沢山出版されていたが、この「十年後」はベストセラーになり、シリーズ化された。確か中学生か高校生だった私は、このシリーズを気に入って、よく読んでいた。

外れた予想

今回は、同書から外れた予測を見てみたい。外れたというより、まったく予想できていなかった項目を見ると、これも驚くほかない。

超円高とバブル経済

僅か2年後の1985年にプラザ合意による「超円高」が始まり、円高対策として行われた金融緩和が遠因となって1986年頃から始まった「バブル経済」を全く予測できていない。当然ながらその後のバブル崩壊と「失われた20年(または30年)」も全く予想できていない。

バブル経済の原因と経緯については以下の本が詳しい

インターネットの出現

一番に驚くのが、最近の発明の中では、世界一の影響力と思われる「インターネット」の普及を全く予想できていないこと。当時既にインターネットは存在しているにも関わらずだ。当時は、パソコンがやっと一般人に普及し始めた時期。コンピュータと言えば、銀行とかにある箪笥みたいに巨大なメインフレームがまだまだ主力。Appleのマッキントッシュが登場したのが、確か1984年だから、この本の1年後。一般人にとって、ここまでコンピューターが普及することは、具体的にイメージできていなかったかもしれない。ただパソコンを通信機器で繋ぐというアイデア自体は、若者のマニアの間で普通に話されていた記憶も。

ちなみに、当然「スマホ」とか「SNS]なんて全く出てこない。

中国の台頭

中国の台頭も全く予想されていない。当時中国は数年前の1979年に、有名な「改革開放政策」を始めたばかり。中国の描写としては、著者が中国を訪れた際に「ロバが荷車を引いていて、アヒルの列が道を歩いていた」ことと、「自動車やトラックを殆ど見なかった」ことが書かれているぐらい。当時の中国は世界の「最貧国」の一つだったとは言え驚くほかない。まさか30年足らずで、世界第二位の経済大国になって日本を追い越すとは、当時誰も予想していなかったことがよくわかる。

アメリカ経済の復活

当時アメリカは、負け戦となった「ベトナム戦争」の影響からやっと立ち直りかけた時期。経常収支の赤字と財政赤字の「双子の赤字」に苦しんでいた。直前の1980年から81年にかけては、1979年の第二次オイルショックとイラン危機でドルが急落。国内ではインフレが10%越えまで昂進して、FRBが強烈な金利引き締めを導入するなど、国内外とも混乱が続いていた。多くの人が「アメリカ帝国の没落」を唱えていた。まさか30年でITと金融パワーによるグローバリゼーションがここまで進んで、「アメリカ一人勝ち」になるとは、誰も予想していなかった。

イスラム原理主義などのテロ

9・11に代表される「イスラム原理主義者」による「テロ」も全くと言うほど予想されていない。当時は1979年にソ連軍がアフガニスタンに侵攻。アメリカは、9・11を起こすウサ・マビン・ラディンなどのイスラム戦士を逆に援助し始めていた。当時はテロと言えばPLOなどのパレスチナゲリラが主力で、あとは日本赤軍とかバーダーマインホフなどの極左学生が主力。まさかイスラムゲリラが飛行機でNYのツインタワーに突っ込むなんて、誰も想像していない。

憲法9条の改正

本書の中のアンケートで、10年後に変わっていることとして、多くの人が「憲法9条」改正を挙げているのが興味深い。幸か不幸か、30年たった今でも「憲法9条」は存在し続けている。

当然コロナは出てこない

まとめ

テクノロジーの進歩を甘く見るな

インターネットの普及を誰も想定していなかった(存在すら知らなかった)ことは驚きだが、当時から「ムーアの法則」は知られていた(この本でも言及している)。ただ「指数関数的成長」の意味を体感的に理解できていなかった。既に当時から現代のIT社会の基盤になる技術である「マイクロチップ」「デジタルネットワーク」「汎用ソフトウエア―」「パケット通信」などの基礎技術は存在していた。いま黎明期にある技術も、今後30年の間に爆発的な発展をすることは意識しないといけないと感じた。

大きな制度変更を甘く見るな

中国の爆発的成長を誰も想定していなかった(例外は経済評論家の「邱永漢氏)。これも「改革開放政策」という大制度変更の意義を多くの人が理解できていなかったからだろう。「鄧小平」と言う強力なリーダの意志を甘く見ていた。同じような例としては、イギリスを復活させたサッチャー首相による「サッチャリズム」「EU統合」と「ユーロ導入」や「WTO」などがある。こういった大きな制度変更は、10年20年単位で社会に大きな影響を与える可能性がある。今起こっている「小さな変化」を見逃さない様にしたい。

続く:次は、今後の「十年後」を自分なりに予想してみたい

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