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十年後と言う本を30年後に読んでみる・・・その1「当たった予想」

コロナ巣ごもりの一環として、本棚の「断捨離」をしていたら懐かしい本が出てきた。カッパブックスのその名も「十年後」。1983年発行というから40年近く前に出版されたこの本。内容は、当時流行した未来予測の本だ。改めてこの本をセミリタイアの暇に任せて読んでみた。

当たった予言と外れた予想

この本は、昭和58年(1983年)出版というから、かれこれ40年近く前に出版された本だ。当時は、第二次オイルショック(1972年)やレーガン政権の誕生(1981年)による冷戦の激化、日米経済摩擦の激化など、社会全体が未来に対して危機感を持っていた時期だ。当時は同じような未来予測の本沢山出版されていたが、この「十年後」はベストセラーになり、シリーズ化された。確か中学生か高校生だった私は、このシリーズをよく読んでいた。

当たった予想

冷戦の終了とソ連崩壊

この本が出版された約6年後の1989年に「ベルリンの壁」が崩壊して、東西冷戦が終了。その後1991年には、「ソビエト連邦」があっさり崩壊してしまった。この本では、ソ連の崩壊までは予想していないが、米ソ和解と冷戦の終了が予想されている。

当時、ソ連は強大な軍事力を持っていたものの、経済はボロボロの状態であることが、徐々に明らかになってきた時期だった。ただ、ソ連があっさり崩壊してしまうことまでは、専門家も含めてほとんどの人が予想していなかった。ちなみに世界中でズバリ「ソ連崩壊」を只一人予想していたのが、有名な小室直樹氏。あとは、後出しじゃんけんの感もある、今も現役のエマニュエルトッド氏ぐらい。なにしろ天下のアメリカ中央状況局CIAが、ソ連崩壊の2週間前に、ソ連の崩壊は100年ないと予想して大恥をかいたぐらい、当時は予想外の出来事だった。

アメリカとの経済戦争と日本衰退

1983年当時は、まだバブル経済は始まっていなかった。当時は、日本の貿易黒字が巨額になり、日米経済摩擦が激化していた時期。アメリカから執拗に経済開放の要求があり、特に金融の自由化、国内市場の開放の圧力が強まっていた。またNTTの民営化に続いて、国鉄(現JRグループ)の民営化が検討され始めた時期。1990年代初頭のクリントン大統領と細川連立政権下での貿易戦争の勃発を正確に言い当てている。

この本では、米ソが和解し冷戦が終了した後、日本に対してアメリカが経済戦争を仕掛けてくることや、それを受けて日本経済が困難に直面することが予想されている。

晩婚化と少子高齢化

今では既におなじみとなった「少子高齢化」。この時既に問題になり始めていた。また晩婚化非婚化も予想していて、単身者の割合が25%まで高まると予想している。また伝統的な家族形態である「核家族」は解体するとも。結構、当たっている。

女性の社会進出と料理の外注

女性の社会進出が進むと、料理の外注が増えて、総菜屋が儲かると予想している。昨今の「ポテサラ」「餃子」論争を先取りしているようで面白い。

銀行の数が半分になる

当時は、この世の春を謳歌していた「銀行業」の衰退を予想していて興味深い。当時すでに「トヨタ」や「パナソニック」などの大企業が「カネ余り」から借り入れを急減させ始めていた。アメリカからの圧力で、金融の自由化も同時進行。利ザヤが急減したが苦境に陥り始めていた。この銀行が起死回生の一発で始めたことの一つが、「不動産融資」。バブル経済の気配が出始めていたが、まだ誰も気づいていなかった。

また総合商社に関しては、逆に銀行業化すると予想している。当時は、まだ総合商社は輸出入が主力で、現在の投資会社化する前の話。そう考えると結構当たっている。

鬱病のサラリーマンが増える

変わったところでは、「戦後生まれ」で「生まれた時から豊かだった」世代が増えるにつれて、うつ病などの精神疾患を患う人が増えると、これも的確に予想してる。困難の中を生きてきた戦前・戦中世代が引退して、戦後生まれが台頭するにしたがって、「心の弱い人間」が増えると予想

保守合同の連立政権と短命内閣

政治面では、自民党単独与党の「1955年体制」が終焉して、保守連立政権の誕生を早くも予想している。これは、参議院に「比例代表制」が導入されたからで、その後の日本政治をかなり的確に予想している。また当然ながら、政権は全て「短命政権」となる事も予想している。

まとめ・・・構造問題は顕在化する

当たった予測を一言でまとめると「構造問題は顕在化する」とういことか。例えば「ソ連崩壊」に関しても、当時ソ連経済が破滅的な状況に陥っていることは、情報として徐々に伝わってきていた。また「少子高齢化」に関しても、既に1970年代の半ばごろから、日本の出生率が急低下していることは既知の話だった。

結論としては、今後この本を参考にするとしたら、今現在、構造問題として存在している問題も、近い将来必ず顕在化するということだろうか。

続く: 次は「外れた予想」編

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