いささか後出しじゃんけんの自慢になってしまうが、なぜ自分は比較的早く事態の深刻さに気付くことが出来たのだろう。 将来の新たなる危機の発生に備える参考のためにも備忘録として残しておこう。
ブラックスワンを考えるのが習慣化
まずは、ちょっと前まで金融機関でマーケット業務をやっていた関係で、所謂「ブラックスワン」について考えることが習慣化していた。毎年年初にはその年に起こり得る「想定外の事態」をリスト化してその場合の「アクションプラン」をリスク別に概要だけでも考えていた。これは別に私だけではなくてマーケット関係者ならみんな大なり小なりやると思う。マーケットで有名なブラックストーンのバイロン・ウィンさんも毎年「今年のびっくり10」を発表してる(今年は外れたみたい)。
セミリタイアにあたってリスクを抽出してリスト化
同じような話になるが、サラリーマンを卒業してセミリタイアするときに、最初にしたことがお金の心配。持っている資産と年金などで平均寿命まで生活できるか試算した(できれば死ぬまで)。セミリタイアを志す人なら大体やる儀式(※「逃げ切り計算機」と言うサイトが有名)。
その時同時に想定される予想外のリスクをリスト化した。特に住居を決める際には、災害等で致命傷とならないように予めリスクを可視化して参考にした。主なものは、以下の通り
- 地震・・・言わずと知れた代表的な災害。南海トラフ、首都圏直下、東北沖アウターライズ
- 火山噴火・・・主に富士山、番外で阿蘇山、例外で喜界カルデラなど
- 台風・・・数年前にフィリピンのレイテ島を襲ったスーパー台風が日本に上陸すると想定
- 財政破綻・・・日本が財政破綻、ハイパーインフレ、超円安
- 年金破綻・・・年金減額、受給年齢後ずれ、インフレによる目減り
- 地政学リスク・・・北朝鮮、米中戦争(日中戦争)、イランなど中東
- その他・・・地球温暖化の影響(ここにパンデミックも入っていた)
パンデミックリスクをどう考えていたか
パンデミックに関しては、「地球温暖化」の項目の中で検討していた。20年ほど前になるが、ディスカバリーチャンネルで地球温暖化の結果、ロンドン近郊でマラリアが流行する可能性があるという番組をみてから気になりだした。もちろん有名な映画の「感染列島」や「コンティジョン」も見ていたし、今や予言の書として有名になった「首都感染」や「ホットゾーン」も読んでいた。
また、セミリタイアすると、旅行に行くことが多くなる。複数の地域に住むデュアル拠点化も考えていた。その際は「国際空港へのアクセス」が重要。ただ国際空港へのアクセスがいい地域は当然感染症にも弱い地域になる(今回だと「札幌」か)。ということで、住居の選択にあたっては、地震や台風とならんで大きな意味で温暖化の一つとしてパンデミックを考えていた。
投資の知識が感染予測のも役に立つ
新型コロナウィルスの感染拡大に関しては、現役時代に身に着けた「投資」に関する知識が役に立った。特に「デリバティブズ」のオプションに関する知識は、まさに今話題になっている「感染者数の予測」の数理モデルと瓜二つ。というか基本的に同じもの。「基本再生産数」を表すツリーも、デリバティブズ関係者にはお馴染みの「ツリーモデル」そのもの。ということで、比較的早い段階から「指数関数的な増加」の概念はつかんでいた。ただ一般人がこれを理解するのは多分無理。政治家や官僚でも文系の人は多分十分理解できなかったんだろう。金融関係者でも、「株式ディーラー」や「為替ディーラー」みたいな「相場が上下する」だけのマーケットを相手にしている人間には、「指数関数的増加」は(多分)理解できない。オプション取引を実践して「ガンマ」を体感している人間にしかなかなか実感が湧かないのが正直なところ。
ただし実際のシミュレーションは甘かった
ただし、どこまで深くパンデミックリスクを考えていたかと言うと、正直、現実的でなかったのが正直なところ。マスクや消毒液までは想定していたけど、ロックダウンがこんなに広範囲に行われるとは予測していなかった。もし海外に居たらと思うとぞっとする。また仮に現実的なシミュレーションが出来ていたとしても、行動できるかは別問題。正常バイアスの力は強い。
さらに一番想定外だったのが日本政府の対応がこれほどお粗末とは想像もできなかったこと。ほとんどの人がPCR検査では、日本が断トツ世界一だと思っていたのではないだろうか。実際は中国どころか台湾、韓国の後塵を拝することに。オリンピックがあるからと言って(というか、あるからこそ)感染症対策が取られていると思っていたが、そうではなかった。これは大げさながら今後の人生を考えるうえで重要な教訓。
情報感度を高めるには、事前学習が肝
今回の新型コロナウィルス感染拡大では、TwitterをはじめとするSNSが大活躍。政府どころか、どんなマスコミよりも情報が早くてかつ正確だった。ただし、膨大な情報から役に立つ情報を取捨選択するためには、事前の予備知識が不可欠。普段から偏りなく読書をして勉強しておくことが不可欠と改めて痛感。
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